給与収入だけで老後資金をまかなえるのか不安に思う人が増えている。多くの人にとって「投資」が避けて通れない時代になってきた。資産を増やすという点で大きな選択肢の1つになるのが株式投資だ。「株投資をはじめたいけど、どうしたらいいのか?」。そんな方に参考になる書籍『株の投資大全ーー成長株をどう見極め、いつ買ったらいいのか』(小泉秀希著、ひふみ株式戦略部監修)が3月15日に発刊された。「ひふみ投信」の創始者、藤野英人氏率いる投資のプロ集団「ひふみ株式戦略部」が全面監修した初の本。株で資産をつくるためには、何をどうすればいいのか? 本連載では、特別に本書から一部を抜粋・編集してその要旨をお伝えしていく。

【成長株の見つけかた】財務諸表を読むコツとは?Photo: Adobe Stock

財務諸表について最低限の知識を身につけよう

 財務諸表は、会社の状況を数値で示した報告書です。主なものとして貸借対照表損益計算書キャッシュフロー計算書の3つがあり、財務3表(ざいむさんぴょう)と呼ばれています(下図)。

 財務諸表は一般的に難しいものだとイメージされていますが、日常的によく使う用語、感覚的にわかりやすい用語もたくさんでてきますし、そうした項目を中心に見ていくだけでもいろいろと気づくことがあります。

 少し難しいですが重要な用語というのもいくつかあります。それらの中で特に重要な受取手形(うけとりてがた)・売掛金(うりかけきん)、棚卸資産(たなおろししさん)、のれん利益剰余金売上原価などの用語については念入りにわかりやすく説明します。

 これらの用語さえ理解すれば、財務諸表はかなりスムーズに読めるようになります。

 財務諸表は会社ごとの事情を反映して、その他にもたくさん知らない用語が出てくることがありますが、金額が小さい数値については、基本的には無視しても問題ありません。

大きくて目立つ金額、
前の年と比べて変化が目立つ金額に注意

 財務諸表を見る上で注目すべきは

 ・大きくて目立つ金額
 ・前の年と比べて変化が目立つ金額

 です。

 そうした項目で、この連載にも書いてなくて理解できない用語があれば、インターネットで検索してみてください。

 財務諸表は、決算短信有価証券報告書などに掲載されています。

 決算短信は決算発表の資料であり、対象となる期間の収益、期末の財務状況やキャッシュフローの状況が載っています。

 本連載では、物語コーポレーション(3097)の2022年6月期本決算の決算短信を事例として見ながら、決算短信の見方を説明していきます。

 物語コーポレーションは、飲食店の運営で成長を続ける企業です。主力業態は低価格の「焼肉きんぐ」や「丸源ラーメン」です。コロナ禍で苦しんだ時期の決算短信になります。

小泉秀希(こいずみ・ひでき)
株式・金融ライター
東京大学卒業後、日興證券(現在のSMBC日興証券)などを経て、1999年より株式・金融ライターに。マネー雑誌『ダイヤモンドZAi』には創刊時から携わり、特集記事や「名投資家に学ぶ株の鉄則!」などの連載を長年担当。『たった7日で株とチャートの達人になる!』『めちゃくちゃ売れてる株の雑誌ザイが作った「株」入門』ほか、株式投資関連の書籍の執筆・編集を多数手がけ、その累計部数は100万部以上に。また、自らも個人投資家として熱心に投資に取り組んでいる。市民講座や社会人向けの株式投資講座などでの講演も多数。
ひふみ株式戦略部
投資信託ひふみシリーズのファンド運用を担うレオス・キャピタルワークスのメンバーにより構成された本書監修プロジェクトチーム。
ひふみ投信:https://hifumi.rheos.jp/