日経平均がバブル後最高値を更新した。だが、「将来のお金の問題が不安だ」「投資が大切だと漠然とわかっているが、なかなか行動に踏み切れない」「貯金や投資を始めてはみたものの、自分の方法が正しいかどうか確信が持てない」──そんな悩みを抱えていないだろうか? そんな人に朗報がある。
全世界300万部突破『サイコロジー・オブ・マネー』著者モーガン・ハウセルが「ニックのように、データの真の意味を理解できるデータサイエンティストでありながら、 説得力のあるストーリーを語れる人はまずいない。絶対読むべき一冊だ」。全世界1000万部突破『Atomic Habits』著者ジェームズ・クリアーが「お金に関する価値ある知恵と実践的なアドバイスが満載」と強力ダブル推薦する注目書がついに日本上陸。
全米ベストセラー『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』だ。
全米屈指のデータサイエンティストによる、お金を貯め、富を築くための証明済の方法を初公開。本稿では、本書から一部を抜粋・編集しながら、「50代から人生が好転する意外な理由」について見ていこう。

【全米屈指のデータサイエンティストが教える】50代から人生が好転する意外な理由Photo: Adobe Stock

50代で幸福度が増加する理由

 ジャーナリストのジョナサン・ラウシュは、著書『ハピネス・カーブ――人生は50代で必ず好転する』(田所昌幸解説、多賀谷正子訳、CCCメディアハウス)の中で、ほとんどの人の幸福度は20代後半で低下し始め、50歳のときに底を打ち、その後増加すると述べている。

 図表60のように、生涯の幸福度はU字カーブ(または「スマイルマーク」)のようになる。

【全米屈指のデータサイエンティストが教える】50代から人生が好転する意外な理由図表60 5年後に期待する生活満足度と現在の生活満足度

経済学者ハンネス・シュワントの研究

 これは、ノースウェスタン大学助教授の経済学者ハンネス・シュワントが、5年後に期待する生活満足度と実際の生活満足度を比較した研究を表したグラフからも見て取れる。

 たとえば、30歳の人の現在の生活満足度は7(10段階)で、5年後の35歳になったときの生活満足感が7.7になることを期待している。

 だが実際には、35歳の人の生活満足度は30歳のときよりも低い6.8になっている。

 つまり、30歳の人は5年後に生活満足度が0.7ポイント上がることを予測していたが、実際には35歳時点で0.2ポイント下がることになる。

 現在の生活満足度を表す点だけを見れば、25歳から70歳にかけて、有名な幸福度のU字曲線が描かれているのがわかる。

20代後半から幸福度が下がる理由

 だが、なぜ20代後半から幸福度は下がり始めるのだろう?

 年を取るにつれて、人生が高い期待に応えにくくなっていくからだ。

 ラウシュは同書で次のように述べている。

「若者は常に将来の生活満足度を過大評価している。これはとてつもなく大きな誤差になりうる。近い将来、シアトルに住み、毎日日光浴をして暮らしているような未来を期待している。20代の若者は、将来の生活満足度を平均して約10%過大評価している。だが、時間の経過とともに、この過度の楽観主義は薄れていく。ただし、人は落ち込むわけではない。現実的になっていくのだ」。

人生の満足度は
年齢とともに上がっていく

 この研究は、私が23歳のときに定めた「30歳までに50万ドル」という大胆な経済的目標を達成できなかったことに対し、落胆した理由を見事に説明している。

 また、そもそもなぜこの目標を達成できなかったのか(つまり、おそらくは楽観的すぎた)についても説明がつく。

 あなたの人生にも同じパターンが見られないだろうか。

 若い頃は近い将来の自分に期待しているのに、実際にその年になったら失望してしまう。

 だが研究が示しているように、これはまったく普通のことである。

 また、時間の経過とともに人生への期待値を下げていくのも普通のことである。

 やがて過度に期待値を下げていくようになるが、年を取っていくにしたがって(先のデータでは50歳前後を境に)、今度は期待しているよりも実際の生活満足度が高いという嬉しい驚きの時期がやってくる。

人生はバリュー株のごとし

 つまり年齢が上がるとともに、私たちは自分が思っている以上に人生が豊かなものであることに気づいていくのだ(その意味で、人生は額面より実際の価値が高い「バリュー株」にたとえられるかもしれない)。

 成長株は、私たちが若い頃に自分自身のことをどう考えるかと同じように値づけされる。

 この時期は、将来への期待と希望が大きい。

 だが、人生は成長株と同じく、最終的に高い期待を満たすのは難しい。

 私たちは時間の経過とともに自らの期待値を下げていき、「この先も状況は改善されないかもしれない」という疑問すら持ってしまうようになる。

 これは、投資家が株式を評価するときの心境と似ている。

 しかし、物事はたいてい予想よりよい方向に進むようになるものだ。

 そして私たちはバリュー株投資家のように、嬉しい驚きを感じることができる。

 もちろん、これは平均的な傾向にすぎない。人生は人それぞれだ。

 私たちはみんな、その時点で知っていることに基づいて物事を決断しなければならない。

 私たちにできることはそれだけだ。

(本稿は『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』の一部を抜粋・編集したものです)