そもそも棚卸資産とは?
まず、製造業は「材料」を仕入れます。材料は材料倉庫で保管されます。これが1つ目の棚卸資産です。
この材料は製造工程に投入されます。製造工程において製造途上の未完成品のことを「仕掛品(しかかりひん)」と言います。「仕掛かり中の品」ということです。これも棚卸資産です。
仕掛品が完成すると「製品」になり、顧客に販売されます。製品も棚卸資産です。「商品」も顧客に販売される棚卸資産ですが、会計における科目としては、商品と製品は使い分けられています。
商品は完成品をそのまま仕入れて販売するものであるのに対し、製品は自ら製造して販売するものです。ですから、商品は主に流通業や小売業で見られる科目で、製品は主に製造業で見られる科目です。
ただし、製造業であっても商品という科目が使われる場合もあれば、流通業・小売業であっても製品という科目が使われる場合もあります。どういう場合かわかりますか?
製造業における商品は、たとえばビール会社における輸入ワインです。ビール会社はビールを製造する製造業ですが、輸入ワインは自ら製造していませんから、これは商品になります。
製造業における商品の他の例はOEM品です。OEM品は、他社の製品を仕入れて自社ブランドで販売するものですから、やはり商品です。
逆に、流通業・小売業における製品の例はPB(プライベートブランド)商品です。一般的に「PB商品」と言われますが、自ら製造しているので、会計上は製品です。
以上の「材料、仕掛品、製品、商品」が棚卸資産の典型的な具体例です。
これ以外にも、「貯蔵品」という科目で計上される棚卸資産もあります。これは、イメージ的には「その他の細々した在庫品」です。たとえば、未使用の切手などが貯蔵品に該当します。