ロシアの民間軍事会社ワグネルにより、ウラジーミル・プーチン大統領が築いた体制の予想外の脆弱(ぜいじゃく)性が露呈した。過去数十年で最大の政治危機から一夜明けた同国では、カギを握る政府当局者らが姿を見せず、今回の混乱が収束したのかロシア国内だけでなく世界で疑問が広がっている。2万5000人の重武装部隊を抱えるワグネルやその創設者エフゲニー・プリコジン氏に加え、ワグネルがモスクワへ素早く進軍することを阻止できなかったロシア軍司令部の今後に関しても、大きな疑問が残る。また武力衝突を回避するためにベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領が仲介した合意も、その内容の詳細はまだ公表されていない。ロシア政府はプリゴジン氏がベラルーシへ移動することに合意したと述べたが、同氏が現在どこにいるのかは25日時点で不明。ワグネルはロシアのTV局に対し、プリゴジン氏が「適切な意思疎通のアクセスを確保できれば、質問にも答える」と述べた。