ウクライナの反転攻勢が始まった。双方が戦果を主張するが、果たして実態は?西側がウクライナに供与した主力戦車を破壊したとするロシア側の映像はフェイクなのか。ウクライナ南部のカホフカ水力発電所のダムを決壊させた犯人は誰か。元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏が解き明かす。(作家・元外務省主任分析官 佐藤 優、構成/石井謙一郎)
ウクライナの反転攻勢が始まった
双方が戦果を主張
ウクライナの反転攻勢が、大々的に報じられています。6月15日のBBCは、ウクライナのマリャル国防次官がメッセージアプリ・テレグラムに投稿した発言(6月14日)を引用する形を取りつつ、こう伝えました。
一方で、ロシアも戦果を強調しています。ロシアの政府系テレビ・第一チャンネルは6月5日夕方のニュースで、戦車を伴うウクライナ軍がドネツク、ザポロジエ、ヘルソンなど4カ所の突破を試みたが、国境警備隊と軍隊が全て撃退したと報じました。兵員300人以上を殺害し、戦車16、装甲車両26、自動車14を破壊したとしています。
さらにドローンで撮影した、戦車3両と装甲車両1両がミサイルで破壊される瞬間の動画を映しました。ウクライナは、この件について沈黙を守っています。
ドイツなどが提供した主力戦車を破壊したとするロシア側の映像については、フェイクではないかという指摘も相次いでいます。たとえば、ロシア国防省が6月6日に「レオパルト戦車を含む外国製装甲車を破壊する映像」と題してテレグラムに投稿した映像です。