「心の病気かも?」ネット検索でチェックが最悪な理由、素人判断は厳禁インターネット上には、セルフチェック方式で、自分に心の問題があるかどうかを手軽に確認できるサイトがある。しかし、こうしたセルフチェックは、目安にはなるが、病名を確定することはできない(写真はイメージです) Photo:PIXTA

心にはさまざまな病気があります。しかし、社会などの変化によって、病気の定義などは変わる可能性があります。インターネットのセルフチェックなどの普及により、「心の病気」を素人判断しがちですが、これは危険なことで、専門家の診断・治療が回復への近道だと言います。公認心理師・言語聴覚士の湯汲英史氏監修の『眠れなくなるほど面白い 図解 臨床心理学』(日本文芸社刊)から紹介します。

心の病気の素人判断は厳禁!
専門家の診断・治療が回復への近道

 人は誰でも大小さまざまな悩みやストレスなどを抱えているものです。そのことが原因で、ひどく気分が落ち込んだり、イライラしたり、怒りっぽくなったりしてしまうことがあるかもしれません。しかし、そのことをもって、心の病気だと判断するのは早計です。

 なぜなら、心の病気は専門家でも診断が難しいからです。たとえば、身体の病気であれば、科学的な根拠に基づいた診察や検査をすることで、病気を特定し、薬物治療や手術といった方法で適切な治療を行うことができます

 しかし、心の病気はそうした科学的な根拠に基づいた診察や検査が難しく、患者さんの訴える症状や心理的アセスメントなどから得る情報、心理検査といった経験や統計に基づいた診断しかできません。さらに、心の病気は同じ症状でも原因はさまざまです。たとえば、「気分が落ち込む」という症状があった場合、可能性がある心の病気は、うつ病、双極性障害、統合失調症など多岐にわたります。