さらに、心の病気は重複していたり、時間経過で症状が変わったりすることがありますし、症状もその軽重も個人差が大きく、専門家でも正確な診断には時間がかかりますし、その診断が正しいのかどうかの判断も難しいのです。それを素人が判断しようとしても、できるわけがありません。

インターネットで調べて、
素人判断ではなく専門家に相談を!

 近年、インターネットで情報を調べることが容易になり、心の病気に関する情報も氾濫しています。そのため、自分の症状を検索して、勝手な自己判断をするケースが見受けられます。

 インターネット上には、セルフチェック方式で、自分に心の問題があるかどうかを手軽に確認できるサイトがあります。しかし、こうしたセルフチェックは、代表的な症状に当てはまるかどうかをチェックしているだけで、目安にはなりますが、病名を確定することはできません

 たとえば、疲労やストレス、対人関係の悩みなどでちょっと気分が落ち込むことは誰にでもあると思います。そのようなとき、「うつ病」のセルフチェックをすれば、当てはまることが多くなるため、勝手に「自分はうつ病だ……」という誤った自己診断をしてしまうことで、見当違いな不安から余計落ち込んでしまったり、「病気だから仕方ない」といった勝手な思い込みを招いたりします。

 逆にセルフチェックに当てはまらなくても、心の病気である可能性も十分考えられ、それによって適切な治療を受けるタイミングを逃し、病気を放置することで症状が重くなってしまう可能性まであるのです。

 また、SNSなどでの言動から「おまえは統失(統合失調症)だ」といった勝手な決めつけをするケースが見受けられます。繰り返しになりますが、素人が病名を正確に診断できるわけもなく、単なる思い込みによる決めつけでしかありません。しかし、それを言われた側はどう感じるでしょう?