日経平均がバブル後最高値を更新した。だが、「将来のお金の問題が不安だ」「投資が大切だと漠然とわかっているが、なかなか行動に踏み切れない」「貯金や投資を始めてはみたものの、自分の方法が正しいかどうか確信が持てない」──そんな悩みを抱えていないだろうか? そんな人に朗報がある。
全世界350万部突破『サイコロジー・オブ・マネー』著者モーガン・ハウセルが「ニックのように、データの真の意味を理解できるデータサイエンティストでありながら、説得力のあるストーリーを語れる人はまずいない。絶対読むべき一冊だ」。全世界1000万部突破『Atomic Habits』著者ジェームズ・クリアーが「お金に関する価値ある知恵と実践的なアドバイスが満載」と強力ダブル推薦する注目書がついに日本上陸。
全米ベストセラー『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』だ。
全米屈指のデータサイエンティストによる、お金を貯め、富を築くための証明済の方法を初公開。本稿では、本書から一部を抜粋・編集しながら、「借金と貯金の意外なエピソード」について見ていこう。

なぜ、世界の最貧層に“借金を貯金の手段”として使っている人がいるのか?Photo: Adobe Stock

借金は「貯金の手段」!?

 オリガ・ゴルバチェフとマリア・ホセ・ルエンゴ=プラドは、クレジットカード負債と普通貯金の両方を持つ人を分析し、これらの「借金を抱える貯蓄者」は、将来的にお金が必要になった場合の備えについて、考え方に特徴があることを明らかにした。

 この人たちは、将来何か起きたときにお金がないことを不安視する傾向があった。

 そのため、短期的には損をしても(クレジットカードの利息を払う)、長期的に手持ちのお金が少なくなるリスクを減らすことを優先させていた。

 一見するとバカげているようだが、実はこれは正当な資産管理の手法である。

 しかし、人が高金利の借金を背負う理由はこれだけではない。

 書籍『最底辺のポートフォリオ――1日2ドルで暮らすということ』(J・モーダック+S・ラザフォード+D・コリンズ+O・ラトフェン著、野上裕生監修、大川修二訳、みすず書房)には、世界の最貧層に借金を貯金の手段として使っている人がいる、という驚きの事実が記されている。

 たとえば、インド南部の町ヴィジャヤワダに住むシーマという女性は、預金口座に55ドルの貯金があるにもかかわらず、金利15%で20ドルのローンを組み、毎月少しずつ返済している。

「借金は悪いもの」とは
一概にはいえない理由

 理由を尋ねられると、彼女は次のように説明した。

「この金利なら簡単に返済できるのがわかっているからです。
 それに、いったん貯金を切り崩してしまったら、もう一度元の額に戻すまでに時間がかかってしまうと思うのです」

 一度貯金を引き出してしまうと、元に戻すにはまた頑張って貯金しなければならない。

 これは精神的なハードルが高い。

 だから、一時的にお金が必要になったときは利息を払うことを受け入れたうえであえて借金を抱え、その返済に努める。

 シーマのような方法を選択している貧困層は世界中に大勢いる。

 数学的に考えると、これは不合理に思えるかもしれない。

 だが、人間心理を理解すれば、理にかなっているともいえる。

 だから、「借金は悪いもの」とは一概にはいえない

 負債はその種類を問わず、ファイナンスの道具なのだ。うまく使えば、効果を発揮する。

 だが使い方を間違うと、大きな痛手を被ることになる。

 この違いは状況次第だ。クレジットカードの高金利の負債を抱えるのはお勧めしない。

 だが、「借金を検討すべきタイミング」を心得ておくことは、お金とうまくつき合ううえで役立つだろう。

(本稿は『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』の一部を抜粋・編集したものです)