ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の戦略は、ある大きな前提に基づいている。それは、長く犠牲の大きい戦争では、自身の独裁政権の方が西側の民主主義政権より長く持ちこたえられる可能性があるというものだ。西側指導者の方が世論に左右されやすいからである。だがロシアの民間軍事会社ワグネル・グループの反乱は、軍事的苦境がロシアの絶対的指導者をも脅かすことを示した。ワグネルを率いるエフゲニー・プリゴジン氏はロシア軍首脳との抗争に敗れたように見える。しかし、先週末にプリゴジン氏がモスクワに向けて進軍したことで、プーチン氏の政治体制のもろさが露呈した。ロシアのウクライナ侵攻が泥沼の戦いとなったことで兵力の大部分が使えなくなっていた。