日常的に、子どもの声を聴く
教員、保護者や地域の方の声を聴く
「なにをもってリーダーシップを発揮したとみなすのか」は、人によってさまざまだろうと思いますが、私自身は次の点に尽きると考えています。
日常的に、子どもの声を聴く。教員の声を聴く。保護者や地域の方の声を聴く。
そのうえで、校長としてできることはなにかを明らかにし、あらゆる人脈を使い、できる限りのリソースをかき集めて確実に実行に移す。
実際に実行に移した取り組みの一つに、保護者、地域の方、子どもなどと校長室で一緒に給食を食べるランチ・ミーティングがあります。ときには校長室が、訪れる人々のお悩み相談室になることもありました。このようにして、校長室を多くの声を聴く場としたのです。
私は、相手がだれであろうと、(どうしても抜けられない予定でもない限り)何時間でも耳を傾けつづけることを心がけていました。そうすることで、校長に対する期待感も高まります。
しかしそれは、「この校長だったら、なにかやってくれるのではないか」という他律的な期待感ではありません。「この校長のもとでだったら、実行が困難だと思ってあきらめかけていたことにチャレンジできるかもしれない」という自律的な期待感です。
このような期待感が波紋のように広がっていくと、校長が「これが大事だ」「こうしなさい」などとあれこれ言う必要はなくなります。相手のほうから「これをやってみたい」「あれはやめたほうがいいのではないか」という声が聞かれるようになるからです。
私はそうした声を再び聴いて実行に移す。この繰り返しによって、教員や子どもたちのやる気が生まれ、学校全体が活気づいてきます。これが、私の考える「校長が最良のリーダーシップを発揮した姿」です。
「ハイ・ニコ・ピン」(「ハイ」は「返事」、「ニコ」は「笑顔」、「ピン」は「背筋を伸ばすこと」)という学校のキャッチコピーもその一環です。この言葉のもとで実現した取り組みには次が挙げられます。
[生徒指導主任からの発案]
通知表の行動の項目を変えた。
[体育主任の発案]
ハイ・ニコ・ピン・シャツ(運動会のユニフォーム)を完成させた。
[特別活動主任の発案]
縦割り集会で「ハイ・ニコ・ピン」にかこつけて「ハイ・ニコ・ビンゴ」(集会活動)を実現させた。