ジャニー喜多川氏と「わいせつ教師」の卑劣な手口が似通ってしまう3つの理由ジャニーズ事務所 Photo:PIXTA

ジャニー喜多川氏だけじゃない、「捕食者」は教育現場にもいる

 その人は繰り返し、繰り返し、自分を尊敬して慕う未成年者を「毒牙」にかけてきた。

 人目のつかないところで体を触り、時に「行為」を強要した。そんな卑劣な性犯罪がこれまで表沙汰にならなかったのは、「子どもたちに愛情をもって熱心に指導する人」という社会的評価があったからだ。

 だから、「性加害疑惑」がもちあがった時も、周囲の人々は何かの間違いだと思った。その人に心酔している人などは、「誰かにはめられたに違いない」と思い込んで、被害を訴えた方を「うそつき」となじった。

 そんな誤った評価が、その人をさらに暴走をさせていく。気がつくと、欲望の赴くままに多くの子どもたちに手をかけて、彼らに大人になっても消えることこない心の傷をつくってしまった――。

 このように聞くと、「ああ、ジャニーさんのことね」と思う人も多いだろう。

 BBCのドキュメンタリー『J-POPの捕食者 秘められたスキャンダル』を機に、今や“日本で最も有名な性犯罪者”となってしまったジャニー喜多川氏については、細かな説明はいらないだろう。最近ではそこに加えて、ジャニーズJr.の元マネジャー男性まで、ジャニーズJr.に金銭を渡して、わいせつな行為をさせていたことを告白し、なんともカオスなことになっている。

 ただ、冒頭で触れているのは、ジャニー氏のことではない。およそ5年半にわたって、2つの小学校で女子児童7人にわいせつな行為を繰り返し、最終的には強制性交にまで及んだとして懲役14年の実刑判決を下され、現在服役している元教員の男性のことだ。

 既にお気づきの人も多いと思うが、実はジャニー氏が多くの被害者から告発された、被害者の心を懐柔して行うわいせつ・セクハラ行為は、「グルーミング」と呼ばれ、「わいせつ教員」が昔から使っている手口だ。

 文部科学省の調査によれば、わいせつ行為等で懲戒免職等の処分を受けた公立小中学校等の教員数は平成25年から9年連続で200人を突破している。もちろん、これは氷山の一角だ。

 ジャニー氏の被害者の多くが「沈黙」していることからもわかるように、教師からわいせつ行為を受けた小中高生の多くは、「何かの間違いだ」「あんなことをされるようなことをした自分が悪い」と泣き寝入りをしているので、実際の被害者はもっと多いだろう。

 つまり、日本の小学校や中学校には「プチ・ジャニー氏」ともいうべき「性の捕食者」が息を潜めているというわけだ。