生まれつきの髪色にかかわらず頭髪を一律で黒色に染色させるなど、理不尽で行き過ぎている「ブラック校則」を問題視する動きが各地で広がっている。ブラック校則にはどのようなものがあるのか、学校側はなぜブラック校則を存続させようとするのか。理不尽な規則が学校生活に暗い影を落とすことがないよう、今後の校則の在り方について考察したい。(ライター 岩瀬めぐみ)
髪黒染め、ツーブロック禁止…
「ブラック校則」にようやく廃止の動き
生まれつきの髪色にかかわらず頭髪を一律で黒色に染色させるなど、理不尽で行き過ぎている「ブラック校則」を問題視する動きが各地で広がっている。見直しをすべきという機運の高まりを受けて、議論が進められていた6項目のうち「『ツーブロック』を禁止する指導」など5項目のブラック校則が、新年度からすべての都立高校で撤廃されることになった。
大きな一歩ではあるだろう。だが、ブラック校則問題が国内外で注目されるきっかけとなった「髪黒染め訴訟」が起きたのは2017年だ(経緯は後述)。なぜ校則の見直しにこんなにも時間がかかったのかと疑問が残る。
ブラック校則とは何か、どのようなブラック校則があるのか、東京都以外でも見直しは進んでいるのか、学校側や教師はなぜブラック校則を存続させようとするのか。理不尽な規則が学校生活に暗い影を落とすことがないよう、今後の校則の在り方について考察する。
男の先生が下着の色をチェック?
こんなにある理不尽な校則
ブラック校則という言葉が、ニュースやワイドショーをにぎわせている。よく耳にはするものの、ブラック校則とは一体何なのだろうか。ブラック校則の定義と、日本全国で実在した、もしくは現在も実在するとんでもないブラック校則の数々を紹介したい。
ブラック校則とは、一般社会や一般常識から見て明らかに不可解で理不尽な校則、行き過ぎている校則・生徒心得・学校内ルールのことを指す。また、そうした規則を厳守させるための過度な指導を含めてブラック校則と定義することもある。
例えば、都立高校で撤廃されることになった5項目の1つ「下着の色の指定に関する指導」について見てみよう。注目すべきは、撤廃されたのが「指導」であって、「下着の色を指定すること」ではない点である。