教師#6Photo:JIJI

スポーツ名門校として有名な神奈川県の桐蔭学園高校と桐蔭学園中等教育学校の教師43人が、ボーナスの減額などが不当であるとして学校法人を提訴。特集『教師 出世・カネ・絶望』(全15回)の#6は、経営難を盾にする上層部に対し、エリート教師たちが起こした反乱をリポートする。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

教師たちが賃金ダウンは不当と主張
学園側「財政が極めて厳しい」

「賃金カットしか解決策がないように振る舞う学園側の態度に対して、公正な判断を下していただき、私たちの権利を守っていただきたい」

 5月13日、神奈川県・横浜地方裁判所502号法廷で行われた第1回口頭弁論で、原告を代表して50代の男性教師はこう意見陳述した。詰め掛けた同僚教師約20人はこの弁に黙ってうなずいた。

 原告はラグビーや硬式野球などのスポーツで名門校として知られる神奈川・桐蔭学園高校と桐蔭学園中等教育学校に勤務する教師43人(さらに追加提訴2人)。教職員労働組合と共に、ボーナス(賞与)水準の引き下げと入試手当の廃止が不当で無効だと主張し、学校法人の桐蔭学園に対して未払い賃金等約1600万円の支払いを求めたのである。

 桐蔭学園の代理人弁護士は第1回口頭弁論で「財政が極めて厳しい。文部科学省から経営指導を受けている」と反論した。

 かつては東京大学合格者数ランキングで全国トップ10入りする「超進学校」としても知られた桐蔭学園は、勤務する教師の稼ぎも悪くなかった。そんなエリート教師たちが反旗を翻したのである。