2012年11月にグランドオープンした阪急うめだ本店が非常に好調なようです。百貨店の“西の雄”である同店は、開業後1年で売上高2130億円という目標を掲げていますが、11月度は前年対比148.4%、12月度は140%と想定どおりの伸びを見せています。

そして2013年3月6日、遂に“東の雄”、伊勢丹新宿本店がリモデルグランドオープンします。今回、「改装」ではなく、「再開発」と呼ぶのがふさわしい斬新さを持った店になっています。

2012年9月頃より段階的にリモデルをしてきた同店の店づくりに懸ける思いからは、今の百貨店業界のおかれた環境、そして日本の小売業界の先行きを見ることができます。では一体、このリモデルで伊勢丹新宿本店は何をめざしているのでしょうか。今回の前編では、伊勢丹新宿本店のリモデル最大の特徴をお伝えします。

日本の百貨店ナンバーワンの
「伊勢丹新宿本店」が目指すもの

現在、「リモデル中」の伊勢丹新宿本店。3月6日にリモデルグランドオープンする

 伊勢丹新宿本店は、言わずと知れた日本の百貨店の“一番店”です。売上高2350億円(2011年度実績;三越日本橋店法人外商売上含む)は、業界ナンバーワンです。

 ブランドコンセプトは、「ファッションの伊勢丹」。

 伊勢丹と言えば、業界人の誰もが「ファッションを提案する会社」、「いち早くトレンドを発信する店」と表現します。実際に日本の小売業において、世界の小売業と同等、もしくはそれ以上のスピード感を持って世界中のファッションを紹介してきた企業は伊勢丹をおいて他にはないでしょう。

 その伊勢丹が2012年9月中旬より、あらためて「世界最高のファッションミュージアム」をコンセプトに順次リモデルを進めてきました。

 そして2013年3月6日、遂にグランドオープンするのです。

 今回のリモデルではさまざまな斬新な取り組みが見られます。全館を完全にリモデルするのではありません。地下2F、地上1~4Fまでの部分改装です。しかしその取り組みは地方百貨店の全館改装に匹敵するとても大きな投資です(約90億円の投資額)。

「ケア」と「予防」をトータルに提案する世界随一のビューティフロアや、世界最高の先進・先鋭の「モード」を提案するフロアなど、伊勢丹独特の切り口や視点を感じられるフロア構成になっています。

 では、具体的にどんな部分が新しく、斬新な店であると言えるのでしょうか。

 まず、リモデルの全体像を把握したいと思います。