渋谷ヒカリエがオープンした。これを期に、渋谷駅の大改造プロジェクトがスタートする。東急グループが総力を上げて2026年まで取り組む「100年に1度の大事業」の幕開けだが、周辺商店街の関係者は期待と不安の入り交じった気持ちで、見守っている。(ダイヤモンド・オンライン編集部 片田江康男)

地元関係者が抱える
期待と一抹の不安

真価は1年後の東急百貨店東横店東館閉店後?<br />ヒカリエ開業に期待と不安を抱える渋谷経済ヒカリエ開業のキーマンたち。左からShinQsを運営する東急百貨店の二橋千裕社長、渋谷大改造を引っ張る東急電鉄の野本弘文社長、シアターオーブを運営する東急文化村の渡辺惇社長

「のれん街がなくなった後、ヒカリエの真価が問われるだろうね。ヒカリエの地下3階と地下2階に、のれん街の代わりが務まるかどうか。いや、渋谷の大将である東急さんにはこんなこと言えないんだけど」

 こう話すのは、渋谷地元商店街の幹部。ヒカリエ開業に伴う大きな集客効果を期待しつつ、一抹の不安も抱えているようだ。

 渋谷駅は、鉄道が8路線乗り入れている巨大ターミナル駅だが、それぞれの連結が悪い。乗り換えには階段での上り下りも多く、バリアフリーとはほど遠い。駅舎はつぎはぎだらけ。迷路のように入り組んでおり、不満を挙げればきりがない。

 そんな複雑さを改善する為に、東急電鉄が中心となって「100年に1度の大事業」と位置づける大改修工事を行なっている。ビルだけで5棟が新設されるなど、プロジェクトはいくつも立ち上がっており、すべて終了するのは2026年だ。ヒカリエはその5棟のビルのなかの目玉である。

 既存の商業施設は順次、改築が始まり、2013年3月末には東急百貨店東横店東館が閉店する。この東横店東館の1階には、東急沿線に住む家庭の、主に夕食の総菜需要を引き受け、年配の主婦層で混み合う「東横のれん街」がある。前出の地元商店街幹部は、根強い人気の「のれん街」がなくなることで、渋谷の集客力が落ちはしないかと気にかけているのだ。

 東急百貨店は、「基本的に2013年3月末に閉店してから新たにオープンするまでの5年間は、ヒカリエのShinQs Foodで、のれん街需要を補う」としている。しかし、ShinQs Foodは20代から40代の働く女性を主なターゲットにしており、のれん街とは出店する店も雰囲気も違いがある。