JR大阪駅と阪急電鉄梅田駅は隣接している。そのわずかなエリアにいくつもの大型商業施設が林立し、しのぎを削っている。そこに真打ちとも言える阪急百貨店が新装開店。阪急うめだ本店は圧勝し、低調のJR大阪三越伊勢丹はさらに窮地に陥る──。多くの業界関係者はそう予測している。

 湧き出てくるかのような、人、人、人──。2012年10月24日、阪急百貨店うめだ本店はごった返していた。その日、7年間にも及ぶ改装期間を経て、リニューアルオープンしたのだ。

 24日はカード会員など得意客に限定、25日は一般客も来店可能としたが、両日とも開店前から長蛇の列ができた。

10月24日の特別招待日と、25日の一般向けのオープンの日。阪急うめだ本店は人でごった返していた。特に、地下の食品売り場は身動き一つできないほどだった
Photo by Ryosuke Shimizu
拡大画像表示

「これがわれわれの店で実現できたら死んでもいい」。日本の百貨店業界が長く手本としてきた、米国の百貨店ノードストローム。その幹部がかつて、改装前の阪急百貨店を視察したさい、エスカレーターから溢れ出る人の波を見て、そう漏らしたという。

 今、その光景が再現されようとしている。百貨店業界が20年近くも縮小傾向が続いていることを忘れさせるほどで、特に、地下1、2階の食品売り場は身動きも取れない状況だ。