コツコツと業績を伸ばしてきた経営者が直面する「売上の壁」。
特に、年間の売上高が2億円から3億円のレベルに達すると、そこでピタッと成長が止まってしまう経営者が多いという。
そんなときに参考になるのが、【発売から18年、2万人以上の経営者に支持されるバイブル】として、待望の新装版が発売された『新装版 売上2億円の会社を10億円にする方法』だ。
本稿では、上場経験のある経営者から熱烈な推薦を受けている本書の中から、経営の基礎である「設計図」思考の一部を紹介する。
では、「今日から現場に一切出ないでください」
2億円企業が、3億円の壁を越え、次のステージのプレイヤーである10億円企業になるためには、今までの会社をもうほとんど全部、と言っていいほど変えていく必要があります。その違いたるやソロバンと電卓、工房と工場。
そしてその変化を実現するための社長の仕事とは、「企業の設計図を最初から描き直すことである」と表現してきました。
そのように会社を変えていく過程の中で、一番の障害は何だと思いますか?
それは決断すること、です。多くの経営者にとって、現場最前線の戦闘から自分の身を離すことが一番つらく、大きな決断です。
コンサルティングが始まるとき、「ウチは10億円企業になります」と言われた経営者の方には、間髪を容れずに「分かりました。それでは今日から現場には一切出ないでください」と私は言い切ります。それができなければ、いつまでたっても10億円はおろか、3億円の壁を越えることができないと知っているからです。
社長が「現場に出ない」ことの最大のメリット
今、あなたが想像されたのと同じように、みなさん絶句されます。一瞬の空白の後には、激しい反論が続きます。「そんなことできっこない」「今は絶対にムリだ」……。
そうおっしゃる気持ちは分かりますし、今そう言わざるを得ない事情もよく分かります。それでも「現状がそうだからこそ、現場に出てはいけないんだ」というのが私の主張です。
会社が大きくなるときには社長のやるべきことが変わる、とは要するに「自分が現場に出ない=お客様の相手を直接しない=それでも社員たちだけで仕事が受注できて、かつ回る」ようにすること。
その仕組みをつくることを「ビジネスモデル」「設計図」と呼んでいるわけですが、理屈は分かっても実際に行動に移していくことが難しい。
難しいのですが、このヤマを越えないと、その先にあるはずの10億円……は見えてきません、絶対に。
10億円企業のビジネスモデルをつくることに本当に賛同していただけたとき、すなわち「もう現場には出ない」と決めていただいた瞬間から、「社長の仕事」が変わります。変わると同時に、会社のあり方そのものが変わってしまうことになります。社名だけは同じですが「設計図」がすっかり入れ替わってしまいますから、その中身が全然違うものになる。後は10億円までの道をまっしぐら、です。
(後編に続く)
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ここに紹介したことのほか、『新装版 売上2億円の会社を10億円にする方法』では、経営者が企業の成長のために考えるべき「設計図」とは何かをコンパクトに紹介しています。