日経平均がバブル後最高値を更新した。だが、「将来のお金の問題が不安だ」「投資が大切だと漠然とわかっているが、なかなか行動に踏み切れない」「貯金や投資を始めてはみたものの、自分の方法が正しいかどうか確信が持てない」──そんな悩みを抱えていないだろうか? そんな人に朗報がある。
全世界350万部突破『サイコロジー・オブ・マネー』著者モーガン・ハウセルが「ニックのように、データの真の意味を理解できるデータサイエンティストでありながら、説得力のあるストーリーを語れる人はまずいない。絶対読むべき一冊だ」。全世界1000万部突破『Atomic Habits』著者ジェームズ・クリアーが「お金に関する価値ある知恵と実践的なアドバイスが満載」と強力ダブル推薦する注目書がついに日本上陸。
全米ベストセラー『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』だ。
全米屈指のデータサイエンティストによる、お金を貯め、富を築くための証明済の方法を初公開。本稿では、本書から一部を抜粋・編集しながらデータの重要性を見ていこう。

【全米屈指のデータサイエンティストが教える】勝ち馬、負け馬を事前に見極める、たった1つの特徴Photo: Adobe Stock

データが語る
「馬の血統」より大切なもの

 競走馬のアメリカンファラオは、2015年に3冠を達成するまで誰からも期待されていなかった。だが、ジェフ・セーダーは違った。

 セーダーはシティグループでアナリストとして働いていたが、退職後、以前から一番やりたかった競馬予想を始めた。

 セーダーは他の競馬研究家とは違い、馬のブリーダーがなにより大切にしている“あるもの”を気にしていなかった。

 馬の血統だ。

 競馬界では、馬の母、父、血統全般が競走馬の成否を左右すると考えられている。

 だが、膨大なデータを分析したセーダーは、この考え方は正しくないと気づいた。

 セーダーはもっと別の要因があるはずだと考え、さらなるデータを求めた。

 データを大量に集め、何年もかけ、競走馬をあらゆる角度から分析した。鼻孔のサイズ、排泄物の重さ、速筋繊維の割合――。

 だが、何も発見できなかった。

 その後、ポータブル超音波を使って馬の内臓の大きさを測定するアイデアを思いついた。

 これが的中した。

 金脈を掘り当てたも同然だった。

 データサイエンティストのセス・スティーヴンズ=ダヴィドウィッツは、著書『誰もが嘘をついている――ビッグデータ分析が暴く人間のヤバい本性』(酒井泰介訳、光文社)の中で、セーダーの発見についてこう書いている。

「彼は、心臓の大きさ、特に左心室の大きさが、競走馬の成功の大きな予測因子であり、最も重要な変数であると気づいたのだ」

「心臓の大きさ」がすべて

 そう、それだけだ。セーダーの分析によれば、心臓の大きさこそが、競走馬の成功要因としてなにより重要だったのだ。

 セーダーはだからこそ、オークションに出品されていた他の馬には目もくれず、買い主を説得してアメリカンファラオを購入させたのだ。

 その後何が起きたかは、誰もが知るとおりである。

 セーダーのエピソードは、たった一つの有用なデータポイントから、いかに大きな価値を引き出せるかを物語っている。

 本書では、ここでの興味深い教訓「たった一つの有用なデータポイントから、いかに大きな価値を引き出せるか」と投資の関係を話した。参考にしてみてほしい。

(本稿は『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』の一部を抜粋・編集したものです)