日経平均がバブル後最高値を更新した。だが、「将来のお金の問題が不安だ」「投資が大切だと漠然とわかっているが、なかなか行動に踏み切れない」「貯金や投資を始めてはみたものの、自分の方法が正しいかどうか確信が持てない」──そんな悩みを抱えていないだろうか? そんな人に朗報がある。
全世界300万部突破『サイコロジー・オブ・マネー』著者モーガン・ハウセルが「絶対読むべき一冊」。全世界1000万部突破『Atomic Habits』著者ジェームズ・クリアーが「お金に関する価値ある知恵と実践的なアドバイスが満載」と評した一冊がついに日本上陸。
全米ベストセラー『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』だ。
全米屈指のデータサイエンティストによる、お金を貯め、富を築くための証明済の方法を初公開。本稿では、本書から一部を抜粋・編集しながら、「老後にお金で困る人の共通点」について見ていこう。

「老後にお金で困る人」に共通する“残念な思い込み”Photo: Adobe Stock

共通する誤った「2つ」の前提とは?

 グーグルで「どれくらい貯金すればいいか」(how much should I save)と検索すると、膨大な数の検索結果が表示される。

 上位には、次のようなアドバイスがある。

「収入の2割を貯金しよう」
「最低でも収入の1割は貯金に回すべきだ。できれば2割、3割までのばそう」
「30歳までに年収と同額、35歳までに年収の2倍、40歳までに3倍を蓄えているのが望ましい」

 これらの主張には、共通する誤った前提がある。

 まず、長期的に安定収入が見込めることを前提にしている。

 第2に、どの収入レベルの人も同じ割合で貯金できることを前提にしている。

所得動態に関するパネル調査結果

 しかし研究結果は、これらの前提の正しさを証明していない

 たとえば、「所得動態に関するパネル調査」(PSID/Panel Study of Income Dynamics)のデータによれば、近年、多くの人たちの所得は不安定になっている。

 このデータに基づいた調査は、1968年から2005年にかけて「世帯の所得変動の推定傾向は25~50%高まっている」ことを明らかにしている。

 これは、以前のように世帯の誰か一人が稼ぎ手になるのではなく、共働き世帯が増えたことにより、世帯内の片方の稼ぎ手が一時的に失業するのを許容しやすくなったことも反映されている。

「貯蓄率」を一番大きく左右するもの

 また、個人の貯蓄率を一番大きく左右するのは所得水準である。

 このことは、様々な研究で実証されている。

 たとえば、連邦準備制度理事会(FRB)と全米経済研究所(NBER)の研究によれば、下位20%の所得者は毎年収入の1%を貯金し、上位20%の所得者は24%を貯金している。

 さらに、上位5%の所得者は37%を、上位1%の所得者は51%を貯金している。

カリフォルニア大学バークレー校の研究

 同様に、カリフォルニア大学バークレー校の経済学者2人によれば、米国では1910年から2010年にかけて、1930年代を除くすべての年代で貯蓄率と富との間に正の相関関係が見られる。

 つまり、富が増えれば増えるほど貯蓄も増えるのだ。

 これが、「収入の2割を貯金しよう」といった貯金に関するアドバイスが見当違いである理由だ。

 これらのアドバイスでは所得の違いが考慮されていないし、誰もが同じ割合で貯金できると仮定している。

 だがそれが間違いであることは、研究によって裏づけられているのだ。

(本稿は『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』の一部を抜粋・編集したものです)