ビジネスの現場では、人前でハキハキと話せる「社交的な人」が有利だと思われがちです。しかし、台湾出身で、超内向型でありながら超外向型社会アメリカで成功を収めたジル・チャン氏の世界的ベストセラー『「静かな人」の戦略書──騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法』(神崎朗子訳)によると、「内向的な人」こそ、冷静さ・思慮深さ・協調性といったビジネススキルを兼ね備えているといいます。
内向型の生まれ持った強みを肯定し、勇気づける本書には、「目からウロコの内容に感動した」「自分らしく生きていけばいいと気づけた」と日本中から絶賛の声が集まっています。
今回は、読者から寄せられた仕事や人間関係の質問に対する、チャン氏の回答を公開します。(構成/根本隼)
Q. 仕事で大切にしていることは何ですか?
読者からの質問 これまでのキャリアを築き上げることができた「最大の理由」は何だと思いますか? ご自身のキャリアの中で、転機となった出来事や人との出会い、大事にしてきた心がけがあれば教えてください。
ジル・チャン氏 今日に至るまでの自分のキャリアというのは、決して前もって思い描いていたわけではありません。私がいままで関わってきた仕事は、それぞれ全くつながりがないんです。
特定の「キャリアプラン」が初めからあったのではなくて、「私に何ができるか」「私は何をしたいのか」について愚直に考え続け、そして思い立ったら行動に移すということを繰り返してきた結果、さまざまな職種を経験することになりました。
ただ、どんな仕事に携わっているときも、一貫して意識していたことがあります。それは、「目の前の仕事に対して毎日ベストを尽くす」ということです。この心がけを忘れずに仕事に励んだことで、どんな職場でも上司や同僚から高い評価を得ることができました。
「常に全力を尽くす」というモットーは、私のアイデンティティーになっています。
逆に、どんなに能力が高くても全力を尽くさない人は、信頼を勝ち取れないと思います。
周りから学ぶことも大事
チャン氏 それとは別に、上司や同僚の言動を観察することも大事です。
周りの人たちの言葉づかいやふるまいを注視することで、「自分がなりたい人間像/なりたくない人間像」「他人にかけるべき言葉/使ってはいけない言葉」など、良くも悪くもたくさんのことが学べます。
自分という人間の器を大きくするためにも、「人のふり見て我がふり直せ」を職場で実践できるといいと思いますよ。