ビジネスの現場では、人前でハキハキと話せる「社交的な人」が有利だと思われがちです。しかし、台湾出身で、超内向型でありながら超外向型社会アメリカで成功を収めたジル・チャン氏の世界的ベストセラー『「静かな人」の戦略書──騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法』(神崎朗子訳)によると、「内向的な人」こそ、冷静さ・思慮深さ・協調性といったビジネススキルを兼ね備えているといいます。
内向型の生まれ持った強みを肯定し、勇気づける本書には、「目からウロコの内容に感動した」「自分らしく生きていけばいいと気づけた」と日本中から絶賛の声が集まっています。
今回は、読者から寄せられた仕事や人間関係の質問に対する、チャン氏の回答を公開します。(構成/根本隼)

「出世したい欲」が強い人の“残念すぎる末路”Photo:Adobe Stock

Q. モチベーションを維持する方法を教えてください

読者からの質問 仕事に対するモチベーションの源泉と、それをキープする秘けつを教えてください。

ジル・チャン氏 社会に出てからずっと、「世の中に対してポジティブな影響を与えたい」という一心で仕事をしてきました。この想いが、私を突き動かしている原動力です。

 たとえば、いま私は、経済的に困窮しているコミュニティーの援助に必要な資金調達に関わるNPOで働いています。また、内向型の方々のキャリア支援にもこれまで携わってきました。

 いずれの仕事も、苦しんだり困ったりしている人の人生や生活を、少しでもポジティブなものに変える一助になるものです。

 私を含め、内向型の人たちにとっては、日々地道に取り組んでいることが「誰かの役に立っている」という実感こそがモチベーションの源泉になります。

 もちろん、仕事がうまくいかなかったり、失敗したりすることはあります。そんなときでも、「誰かのためになる」という最終目標を見失わなければ、自然とやる気は湧いてきます

「出世したい欲」が強い人ほど、すぐ心が折れる

チャン氏 一方で、「周りより高い評価を得たい」「出世したい」というような外発的な動機づけに頼る人ほど、挫折したときにすぐやる気を失います。つまり、「誰かのためになりたい」という内発的なやりがいの方が、持続的でパワフルなんです。

 この動機づけの差が、各自の成長力や、その後の「仕事ができる/できない」に直結します。

 今後また、新しい仕事や環境に身を投じることになるかもしれませんが、心にあるのは「困っている人たちを助けたい」という想いだけです。仕事の内容は違っても、この理念があるかぎり、私の情熱の火が消えることはありません。