「ライザップがつくったコンビニジム」というキャッチコピーのもと、急成長する「ちょこざっぷ」が話題です。開始2年目で会員数55万人・全国550店舗を突破、26年3月期までに2000店舗まで拡大する方針です。なぜ、ここまで人気に火がついたのでしょうか。実は、「カギ付きロッカーがない」ことに秘密があります。(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)
ちょこざっぷの急成長は
偶然ではない
RIZAPグループが運営するコンビニジム「ちょこざっぷ(以下、chocoZAP)」が開始2年目で会員数55万人、全国550店舗と急成長しています。RIZAPグループの決算としては出店の先行投資で2年連続の営業赤字になっていますが、それでもchocoZAPへの投資は続け、3年後の2026年3月期までに2000店舗に拡大する方針ということです。
この先、chocoZAPが成功するかどうかまだ楽観を許さない状況ではありますが、ここまでのところ、大企業の新規事業としては成功の道を歩んでいると思います。
特に経営戦略の専門家の視点で見ると、chocoZAPはきわめて教科書的に正しい新規事業の設計をしています。
これまで世の中になかった新しい事業を立ち上げる際には、重要なことが二つあります。それは、ニーズとビジネスモデルです。新規事業の立ち上げが多いリクルートでは、同じことを「ロマンとそろばん」と表現します。
ニーズ〈ロマン〉とは、これまでユーザーが求めていたけれども存在していなかった「何か」を発見して新しい世界を作ること。そしてビジネスモデル〈そろばん〉とは、それまでそれが存在していなかった要因である「金がかかりすぎてそんなことはできない」という理由を取り除くことです。
そしてこの記事のポイントでもあるのですがchocoZAPという新規事業はこの二つの設計が教科書通り、非常にうまくできているのです。そのことを、一つずつ見ていきたいと思います。
まずは、「ニーズを見つけて新しい未来を想像するロマン」の話から。