本当に仕事ができる人の特徴

 観察してわかったのは、師匠は仕事をする際に「なにを」「いつまでに」「どうすればいいのか」をかなり綿密に決めてから仕事に取り掛かっていたのです。それは「この仕事は〇〇日締切」とだけ考えていた私とは大きく違いました。少し見ていきましょう。

 同じ漫才台本の仕事を私と師匠が受けたとしたら、当時の私は「締切〇〇日、なるべく面白いもの」としか考えていませんでした。

 対して師匠は「大阪の舞台での台本、漫才の時間は7分、連休の公演だから普段観にこないお客さんもいる、ネタは一度寝かせて見直したいから、締切2日前までには一度書き終えて1日寝かせて見直す」と、仕事に取り掛かる前にかなり細かく設計をしていたのです。ちなみにこれもほんの一部です。

 この差は仕事のスピードだけでなく、当然質の差にもあらわれます。私よりも師匠のネタの方が面白いのです。このことがわかってから私も仕事に取り掛かる前に必ず自分が実行すべきことを明確にするようにしました。すると仕事の質も上がり、締切遅れもなくなったのです。

 つまり、口先だけで仕事ができない人は、仕事を受けたとき、なんとなくそのゴールを見ているだけで、ふらふらと走っているのに対し、本当に仕事ができる人は、走り出す前にちゃんと走るコースやペース、走り方を決めてゴールまで最短距離で駆け抜けるのです。

 最初は口先だけの人の方がスタートは速いですが、その差は一瞬で、迷っている間に本当に仕事ができる人はどんどん前に進んでいきます。

 このようにして仕事のできるできないはどこまで仕事を細かく考え、解像度を上げられるかで決まることが非常に多いです。そんなことはわかっているという人も多いとは思いますが、復習として覚えておいていただけると嬉しいです。