物流不動産の異業種協業先が多様化してきている。その背景にあるのが、物流不動産の大量供給によるテナント誘致競争の激化だ。CBREの調査によると、首都圏の大型マルチテナント型物流施設の空室率は1~3月に8%台に達し、竣工時の稼働率は3割にとどまる。建設コストが上昇している中で、賃料の引き下げには限界があり、各種協業を通じて物件の付加価値を高め、差別化を図ろうとする思惑がうかがえる。五つの事例を紹介する。(カーゴニュース編集部)
物流施設で「子育て支援」
バイリンガル教育が受けられる!?
【自動運転トラック】三菱地所/T2
自動運転トラック対応で物流施設の付加価値向上を目指すのが三菱地所。同社は6月30日、自動運転技術を活用した次世代の物流システム構築を目指すT2と日本初の自動運転トラックに対応した物流ネットワーク構築に向け資本業務提携を行うことで合意した。
T2が手がける「レベル4」の自動運転トラックによる日本の幹線輸送と、その発着地点となる三菱地所が開発する次世代基幹物流施設を融合させ、シームレスな輸送実現を目指す。なお、T2は三菱地所を引受先とする第三者割当増資12.5億円を実施した。
三菱地所は京都府城陽市で次世代のモビリティを受入可能とする高速道路IC直結の「次世代基幹物流施設」の開発計画を進めており、同施設の敷地内に「レベル4」自動運転トラック発着拠点となるモビリティプールを設置する予定。
今後、同機能をT2が活用するほか、「レベル4」自動運転トラックが建物内まで運行できる基幹物流施設の整備や、「レベル4」自動運転トラックと基幹物流施設を組み合わせた新サービスなどの共同開発を進めていく。
【子育て支援】ESR/ジョイサポ
テナント企業の人材確保の課題に対し、「子育て支援」に着目するのがESR。保育事業運営サービスを手掛けるジョイサポと連携し、「ESR市川DC」、「ESR尼崎DC」に託児所「バーンクラブ」を開設している。
「バーンクラブ」は英国・ロンドンのプリスクール。ESRの施設内で同ブランドを使用する業務提携を行っている。ESRでは、テナント企業の人材確保・定着につながる施策として、延床面積10万平米の物流施設に「バーンクラブ」を導入する方針を掲げる。
ESRは「バーンクラブ」の運営費を補助し、保護者の負担軽減のため、入会金、給食・おやつ、飲み物代、寝具、おむつ代、寝具のクリーニング代などきめ細かなサービスも無料で行う。
大きな特徴が「バイリンガル教育」だ。外国人英語講師が常駐し、歌やダンス、工作、読み聞かせ、リトミックなど子供たちが楽しみながら自然に英語のシャワーを浴びる環境を作り、クオリティの高い幼児英語教育を提供する。