「2024年問題」まで1年を切る中、“運べなくなる危機”を回避するため、トラックドライバーなどの物流資源の有効活用につながる「共同物流」への関心が一段と強まっている。一方で、共同物流に参画する荷主の一部からは、業界でのシェアが相当程度高くなるため、独占禁止法への抵触を懸念する声も挙がっていた。公正取引委員会は6月16日に開催された、国土交通省、経済産業省などが主催する「持続可能な物流検討会」の第11回会合で、共同物流に関しては多くの事例が「独禁法上問題となるものではない」と報告。公取委から“お墨付き”が与えられたことで、大手荷主を中心に共同物流の検討がさらに加速する可能性が出てきた。(カーゴニュース編集部)
「政策パッケージ」共同輸配送促進を明記
6月2日に政府の関係閣僚会議が策定した「物流革新に向けた政策パッケージ」では、「共同輸配送や物流事業者間の協業などを促進する」と方針を明記。政策パッケージと関連し関係省庁がまとめた物流ガイドラインにも、荷主や事業者が「共同で輸配送を実施することにより積載効率の向上に取り組む」ことが盛り込まれ、帰り荷の確保や空車回送の削減によるトラックの有効活用策が示された。
これまでも国土交通省は物流総合効率化法に基づき、共同物流の実施計画策定への支援などを行ってきたが、今回、「2024年問題」を見据えた「政府パッケージ」の施策に盛り込んだことで、政府全体の課題として共同物流を促進し、予算措置による補助制度の拡充が期待される。一方で、大手荷主による共同物流の検討・実施にあたっては、独占禁止法に違反する不安もハードルとされていた。