国土交通省は10月20日、「自動運転車を用いた自動車運送事業における輸送の安全確保等に関する検討会」の第2回会合を開催した。自動運転トラックの安全を確保するための方策として、車両の日常点検、点呼時の報告、貨物の積載方法の確認、運行記録の作成といった運転操作以外の業務を担当し、安全確保を担う新たな職種として「自動運行従事者(仮称)」を法令で位置づけるべきとの考えが示された。冬頃に開催予定の次回会議で具体的な制度化に向け検討作業を進めていく。
“有人運転と同等”の安全確保が基本原則
同会議ではトラックやバス、タクシーの自動車運送事業者などにヒアリングを実施。その結果を踏まえ、第2回会合で論点整理のかたちで対策案を提示した。
まず「運転者が存在する場合と同等の輸送の安全等を確保する必要がある」との基本的な方針を示した上で、これまでドライバーが担っていた運転操作以外の業務を担う「自動運行従事者」を法令で位置づける必要があるとの考えを提示。自動運行従事者は、偏荷重とならないような貨物の積載や、ロープやシートを用いた荷崩れ防止を行うなど運送の安全確保業務を担当することとなる。加えて、事業者に対しては、荷崩れが発生した場合に対応できるよう監視カメラやセンサーを車内に設置することを義務づける案も示された。
自動運転については、2022年4月に公布された改正道路交通法でドライバーが乗務していないトラック、バス、タクシーの運行許可制度が新たに創設され、現在、施行に向けて警察庁が法令を整備中。他方、国交省では、自動運転車を用いた自動車運送事業(旅客、貨物)における安全確保について、道路運送法および貨物自動車運送事業法上で必要となる対策を同会議で検討している。