サプライチェーンの脱中国化
IPEFを通じて加速へ
政府は7月23日から、先端半導体製造装置など新たに23品目の輸出規制を実施した。
中国向けに限定した措置ではないものの、米国が2022年10月に中国向けの先端半導体製造装置の輸出を大幅に規制強化し、日本にも同様の措置を要請していたことを踏まえれば、中国を念頭に置いたものとみられる。
政府は国内企業への影響は限定的としているが、将来的には規制対象外の品目にも影響が及んだり、中国国内の技術開発を促して日本製品の需要が減少したりする可能性は否定できない。
こうした動きは、米国が主導する事実上の対中包囲網である「インド太平洋経済枠組み」(IPEF)などを通じて、中長期的に加速するだろう。
IPEFには、米国や日本のほか、インド、韓国、オーストラリアなど14カ国が参加しており、サプライチェーンの弱点となり得る重要物資の脱中国などについて交渉が進められている。
参加国の経済規模は世界のGDPの4割に相当し、とりわけ中国との相互依存関係が深い日本経済に今後、大きな影響を及ぼすとみられる。
米中対立の激化やロシアによるウクライナ侵略などの国際情勢の変化により、重要物資の生産や調達などで脱中国の動きが広がるなかで、経済安全保障面での「中国リスク」への対応が喫緊の課題だ。