韓国で長く読まれている勉強の本がある。1冊は、日雇い労働をしながら4浪の末、ソウル大学に首席で合格した『勉強が一番、簡単でした』(70万部)。もう1冊は、中高生の98.4%が「勉強をしたくなった」と回答した『勉強が面白くなる瞬間』(50万部)。計120万部を超える大ベストセラーがついに日本で出版される。なぜ、受験大国・韓国で読まれたのか? そして、私たち日本人は何を学ぶべきか? 2冊の共通点を探ると共に、勉強の本質に迫る。
2人の青年が勉強で成功したきっかけ
ある人は、学校に行っても授業を受けず、テレビ・ゲーム・漫画三昧。1日10時間以上寝ていては、「勉強なんて無駄だ」と思っていた。
また、ある人は、勉強よりも喧嘩に明け暮れる日々。家が貧乏だから、働きながら学校に行く生活を強いられ、やがて学校にも行かなくなった。
2人は、まだ10代。このまま大人になって、どんな生活をしていくのだろうか。親が言っても、先生が言っても聞かない。そして、周囲はこう思っただろう。
「この子の将来は大丈夫なのか?」
思ってくれるだけまだマシかもしれない。先生からも見放され、友人は進学し、あとになって慌ててももう手遅れ。
やがて2人は、人生の未来をとても明るくは描けなかった。むしろ、想像するのを恐れた。過ぎていった時間は取り戻せない。「どうすればいいのだろう」。誰かが手を差し伸べてくれるのか。そんな期待もできない。この沼から出ることはできない……。
泣いた。泣くしか手段がなかった。
この2人はのちに勉強本でベストセラーを生み出す『勉強が面白くなる瞬間』『勉強が一番、簡単でした』著者になるほど、人生の大逆転を成し遂げた人物である。
「勉強するきっかけは何だったのか?」
1つは先にあげた「将来への不安」。もう1つは、「自分で気づいたこと」。誰かに言われてやっても長続きしない。2人は、将来が怖くて泣いた。やりたいことを望める人生をつかみたい。そのために、「勉強しか残されていない!」と信じた。
韓国では、子どもから大人まで多くの人に読まれている2冊だが、『勉強が面白くなる瞬間』は子どもが寝ている間に、机の上にこの本を置く社会現象が生まれたほど。おそらく「この本を読みなさい」では読まないことがわかっているので、「与えるが読むかは本人次第」と願ったのではないだろうか。そして、中高生の98.4%が「勉強したくなった」というのだから、「自分で気づいた」子が多かったのだろう。
不思議なことに、2冊とも、「私ができたのだから、みんなもできる!」と訴えている。それは、子どもたちに限ったことではなく、大人たちも同じ。
人生を悲観し、将来を不安視するなら、行動するしかない。そのために勉強がある。幸い、問題を解決する本はたくさんあるし、教えてくれる人もいる。
よもや勉強本から人生論を学ぶとは思っていなかったが、勉強は一生ついてまわるもの。一番になる必要もないし、誰かと比較する必要もない。自分が戦うべき相手は自分。
「もっと〇〇しておけばよかった」と思うなら、この本でなにかのきっかけをつかめることでしょう。そして、気づけたとき、勉強したくなる自分に出会えているはずです。
(書き手=編集部・武井康一郎)