柳井正氏が率いるファーストリテイリングは、2023年8月期第3四半期決算において過去最高の売上収益と純利益をたたき出した柳井正氏が率いるファーストリテイリングは、2023年8月期第3四半期決算において過去最高の売上収益と純利益をたたき出した Photo:JIJI

「経営の神様」と評された稲盛和夫氏と、ユニクロを運営するファーストリテイリングの経営トップを担う柳井正氏は、稲盛氏の生前、互いに尊敬し合う仲だった。そして稲盛氏はかつて、「日本企業はユニクロのようになるべき」といった趣旨のメッセージを残しているのだが、その真意とは何なのか。(イトモス研究所所長 小倉健一)

稲盛和夫氏と柳井正氏は
日本の経済史に名を残す名経営者

 平成を代表する経営者といえば、稲盛和夫氏、孫正義氏、そして柳井正氏ではないだろうか。いずれも日本の経済史に名を残す名経営者であろう。

 ソフトバンクの創業者である孫氏は、令和に入って、巨額の投資が裏目となって大いに意気消沈しているところだが、京セラとKDDIを創業し、日本航空(JAL)を再建した稲盛氏の功績はさんぜんと輝いている。また、柳井氏が経営のかじを握り、ユニクロを展開するファーストリテイリングの決算も今、絶頂期にある。2022年9月から23年5月まで9カ月間の連結決算で、売上収益が2兆1435億円、純利益(最終利益)が2385億円となり、過去最高となったのだ。

「週刊ダイヤモンド」23年1月7・14日合併号の特集『社長が選ぶ現代の名経営者』において、1位に稲盛氏、2位に柳井氏がランクインしている。

 稲盛氏と柳井氏、手掛けるビジネスは違うが、互いに相手への尊敬の念を隠していない。そして実は、稲盛氏は「日本企業はユニクロのようになるべき」といったメッセージを残している。今回は、その真意についてお伝えしよう。