ビジネスの現場では、人前でハキハキと話せる「社交的な人」が有利だと思われがちです。しかし、台湾出身で、超内向型でありながら超外向型社会アメリカで成功を収めたジル・チャン氏の世界的ベストセラー『「静かな人」の戦略書──騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法』(神崎朗子訳)によると、「内向的な人」こそ、冷静さ・思慮深さ・協調性といったビジネススキルを兼ね備えているといいます。
内向型の生まれ持った強みを肯定し、勇気づける本書には、「目からウロコの内容に感動した」「自分らしく生きていけばいいと気づけた」と日本中から絶賛の声が集まっています。
今回は、読者から寄せられた仕事や人間関係の質問に対する、チャン氏の回答を公開します。(構成/根本隼)
Q. 外国人と話すときの注意点はありますか?
読者からの質問 自国の人たちとのコミュニケーションと、外国の人とのコミュニケーションとで、気をつけるべきことや意識すべきことは違いますか?
ジル・チャン氏 話す相手の出身文化圏によって、対応が変わってくると思います。
たとえば、日本を含めた東アジア文化圏の人たちとの会話は、話している言葉以外の情報に頼る「ハイコンテクスト型」のコミュニケーションが多いです。
どういうことかというと、お互いの歴史・文化・言語の共通性を前提にして、言葉の省略や遠回しな言い方で間接的な表現を多用したり、表情や声のトーンから行間を読むことが求められたりするということです。
欧米出身の外国人が日本人との会話で困るのは、まさにこの「ハイコンテクスト型」のコミュニケーションです。日本人はしばしば、どんな相手に対してもこの会話スタイルを試みがちですが、文化がまったく異なる相手との間には、ハイコンテクストな会話は成り立ちません。
遠回しな言い方などをしてしまうと、相手は意味が理解できず困ってしまいますので注意しましょう。
ハイコンテクストな会話では「聞き手」の役割が重要
チャン氏 また、ハイコンテクスト型の会話では、話し手の発言内容を「聞き手」がきちんと汲み取って理解することが重要になります。
例として、男性が女性に「あなたの作るスープを一生飲みたい」と言ったとしましょう。これはもちろん、文字通り「スープを飲み続けたい」ということを表現したのではなく、「結婚してください」というプロポーズのセリフです。
そして、「この発言の真意=結婚したいという気持ち」は、聞き手の女性が読み取らないといけないんです。
西洋文化圏では「ローコンテクスト型」の会話
チャン氏 これに対して、アメリカのような西洋文化圏における会話は、前提知識や事前情報、場の雰囲気などに頼らず、伝えるべきことをその場ですべて言語化する「ローコンテクスト」型が主流です。
この場合は、話の内容や真意を明確にするのは「話し手」の役割です。彼らとのコミュニケーションで、話し手が「私の言っていることは伝わっていますか?」と頻繁に確認するのもそのためです。
つまり、情報がきちんと伝達されるかどうかは、話し手の言葉選び次第です。西洋文化園の人と喋る際は、「話のポイントを明確にして、伝えたいことをはっきりと言葉にする」ということを常に意識しましょう。