福島第一原発の処理水(トリチウム水)を貯蔵するスペースが今年の夏には限界を迎えるが、日本の周辺諸国からは海洋放出について懸念の声が上がっている。小島敏文復興副大臣に直撃インタビューすると、韓国原発の意外な実態が見えてきた。(イトモス研究所所長 小倉健一)
被害実態のない「風評被害」で
東北の農林水産品がダメージを受ける可能性
福島第一原発の処理水(トリチウム水)を巡って、大きな議論が巻き起こっている。処理水を貯蔵するスペースが今年の夏には限界を迎える一方で、中国・韓国・台湾など日本の周辺諸国からは懸念の声が上がっている。
例えば、こんな調査がある。東京大学の関谷直也准教授が2021年3月に、日本のほか、韓国やアメリカなど10の国と地域ごとに、20代から60代の男女、300人を対象にインターネットで行った。
・「海洋放出が行われた場合、福島県産食品の安全性をどう思うか」との質問に、「とても危険だ」と「やや危険だ」との回答の合計が日本は36%だった
・同じ質問に対し、日本以外の9カ国・地域はいずれも6割を超え、高い順から韓国93%、中国87%、ドイツ82%、フランス77%、台湾76%、アメリカ74%と続いた
・韓国や中国などの日本の近隣諸国で「いまでも日本政府は原発からの放射性物質の情報を公開していない」などという回答も5割に上った
処理水に含まれるトリチウムは、自然界にも存在し、処理水水準のごく微量であれば、人体に影響を与えないことで知られている。まさしく、被害実態のない「風評被害」によって、東北の農林水産品はダメージを受ける可能性があるのだ。
今後の政府対応について、海外への情報発信を担当する復興副大臣、小島敏文衆議院議員を直撃した。