来年1月の総統選挙を控え、台湾では安全保障政策が大きな争点となっている。武力での台湾統一を否定しない中国と常に対峙する中、ロシアに侵攻されたウクライナに台湾を重ねる人も多い。軍事力の増強で中国に対抗するのか、妥協してでも戦いは回避すべきなのか。日本にとってこれは他人事ではない。万が一中国が台湾に侵攻し、その阻止のために米軍が参戦した場合、日本が関与を強いられるのは確実だ。しかし日本政府は戦闘に加わるか否か米国にも明確にしておらず、議論も避けているように見える。「台湾有事」は、日本が結論を出すのを待っているわけではない。米軍とともに戦闘に加われば、自衛隊員をはじめ国民に犠牲が出ることや中国による攻撃の可能性を覚悟しなくてはならない。一方で、米軍だけでは台湾を守りきれない確率が高まるとされている。中国による統一は、台湾の人々が享受してきた民主主義や言論の自由といった価値観や生き方を否定しかねない。