ときどき「地理は得意だけれど、歴史は苦手」とおっしゃる人がいます。しかし、加藤先生は「歴史と地理を分けてとらえる必要はない。私たちが、地理としてとらえていることは、歴史の新しい1ページになるのです」と言います。地理では、世界の国々や日本各地の文化と地形を学びます。文化は、歴史的な背景があって芽生えてくるものですし、地形も歴史的な気候などの変化や、人々の営みによってつくられています。つまり、どちらもつながり合っているものなのです。

 そのため、本稿でご紹介する【社会ができる子になる習慣】でも、特段、歴史と地理を分けて解説することはしません。地理も歴史も社会科の勉強全般で大事なことは、「知りたがり」「考えたがり」の子を育て、視野を広げるような接し方をしていくことです。

社会科を学ぶことで
育つ力

 社会科は文字通り「社会を学ぶ教科」です。そのため、社会で生きることに直結するありとあらゆる力を身につけることができます。ここでは、社会科を通じて養える2つの大きな力を紹介します。

☆能力1
多様な価値観を大切にする力

 社会科では、さまざまな人の視点に立って考えることが求められるので、多様な考え方や多様な価値観を認められる力がついてきます。この先の社会では、日本国内だけではなく、世界を視野に入れて活動する機会が増えるでしょう。

 また、たとえ日本にいたとしても多種多様なバックグラウンドをもつ人々とどう付き合っていくかが重要になります。社会科の学習は、そうした力を培う学びとして非常に有効です。

☆能力2
仮説検証する力

 社会で起きている問題に対して、絶対の解決策はありません。試行錯誤しながら、多くの人にとってベターな方向性を探っていく力が求められます。そして、ベターな解決法にたどり着くためには、自分は「こうすればよくなると思う」という仮説を立て、人に話を聞いたり実行してみたりして考えを深めていく必要があります。

 このように社会的な課題に対して、仮説検証して探究していく力を育むには、社会科がぴったりの教科といえます。次ページからはSAPIX式社会ができる子になる習慣をご紹介します。