完璧な設備のサマーコテージで
ソーセージやピザを満喫
部屋は1階のリビングとキッチンが吹き抜けで、1階に寝室一部屋、それから2階ロフトにダブルベッドとベビーベッドまで用意されていた。サウナは部屋の中からアクセスできるし、そのまま外に通じる勝手口もついている。外に出れば木製の足場が傾斜の中、湖畔まで伸び、はだしで飛び出して行ってサウナでほてった体を湖で冷やすことができる。完璧なロケーション、完璧な設備。
サウナを温めている間にフィンランド人が大好きなサマーコテージのお供、おおぶりなソーセージ(マッカラ)をサウナストーブの上で、ピザを備え付けのオーブンでそれぞれ焼いた。どちらも途中のスーパーで買ってきたものだ。
2017年、フィンランドが独立百周年を迎えた年、国民食を決めようとある機関がネットで投票を募っていたことがある。伝統的なえんどう豆のスープやライ麦パンに並んでその候補にあったのはなんとピザだった。
それを最初に見つけたときは冗談かと思った。ピザで有名なのはこんな寒い国ではなくイタリアだ。しかしあながち冗談ともいえないのは、フィンランドの大型スーパーマーケットに行くと冷凍ピザが一列まるまる並んでいたりする。通常サイズのスーパーでもひと棚全部ピザ、というのは珍しくない。
安いもので一枚3ユーロ以下のものもありお財布に優しく、買ってきてオーブンに入れるだけの気軽さは忙しいフィンランドでは人気なのだろう。
生地だけ買ってきて自分でトッピングをアレンジする半ホームメイドピザもあり、子供がいる家庭でも重宝されている。例の投票結果ではさすがに一位にならなかったものの、それを考えると他の伝統食よりよっぽど定期的に食べられているのかもしれない。
というわけでコテージの慣れないキッチンには最適の軽食として、冷凍ピザとマッカラをほおばり、一応栄養バランスを気にしてできあいのキノコサラダとビーツサラダを添え、ビールで流し込めば、フィンランド流おもてなしの完成である。
本来ならここにバーベキューも加えるのが筋だろうけど、小雨が降っていたのと夜も遅い時間だったのでやめておいた。しかしチェックインの電話の際に宿主が「あ、バーベキューする?もちろんするよね。薪も焚きつけ用の燃料も置いておいたよ」とご丁寧にも準備済だった。