【総フォロワー数25万人!】長年の教師生活で多くの親と接したなかから生まれた、熱い思いの詰まった言葉を365個掲載した書籍『子育て365日 親の不安がスーッと消える言葉集』が、あらゆる年代の親に刺さると話題。親力アドバイザーとして名高い教育評論家の親野智可等氏がいま子育て中の人に伝えたいことがあります。

子どもが素直に行動を改める親の話し方Photo: Adobe Stock

正論を一方的に押しつけると、子どもの心に届かない

お兄ちゃんが弟を叩いてしまいました。
理由を聞くと、「だって、弟がおもちゃ取ってきたんだもん」とのこと。
こんなとき、「たたくのは暴力だよ。それはダメ」などと叱ることが多いと思います。

でも、よく考えてみてください。
正論を一方的に押しつけても、子どもの心に届きませんよね。
それどころか不満が溜まるだけで、行動を変えることにはつながらないのではないでしょうか。
なぜなら、お兄ちゃんはそんなことは頭ではわかっているけど、気持ちが処理できていないだけだからです。

そこで、お兄ちゃんには次のように共感してあげるといいでしょう。

あなた「そうなんだ~。おもちゃ、取られちゃったんだ。嫌だったね」
お兄ちゃん「そうだよ。いつもそうだよ」
あなた「いつもそうなんだ」
お兄ちゃん「ぼくが遊んでるといつも取りに来てぜんぜん遊べない」
あなた「そうなんだ。お兄ちゃんも大変だね」

途中で遮ったり叱ったりしないで、とにかく共感的にたっぷり聞いてあげましょう。
すると、お兄ちゃんは自分の言いたいことを全部言えて、気持ちがすっきりします。
そして「お母さん、お父さんはぼくの気持ちをわかってくれた」と感じて、親への信頼感が高まります。

そこで初めて「じゃあ、弟はどう思ってるかな?」とか「お兄ちゃん、これからはどうする?」などと聞いてみます。
すると、「弟もやりたかったと思う」とか「よし、わかった。これからは弟に先にやらせちゃう。だってぼくお兄ちゃんだもん」など、自分から言い出すことがよくあります。

もう答えは知っているのですから、共感によって気持ちを処理してあげれば、それが素直に出せるのです。

このように進めれば不満をため込むこともありませんし、自分が納得できるので行動を変えることにもつながりやすくなります。

◆本原稿は、『子育て365日 親の不安がスーッと消える言葉集』の著者・親野智可等が子どもに関わるすべての人に伝えたい書きおろしメッセージです。(次回へ続く)