1万件を超える「幼児から高校生までの保護者の悩み相談」を受け、4000人以上の小中高校生に勉強を教えてきた教育者・石田勝紀が、子どもを勉強嫌いにしないための『勉強しない子に勉強しなさいと言っても、ぜんぜん勉強しないんですけどの処方箋』を刊行。子どもに失敗してほしくない、教育熱心な人ほど苦悩を抱える大問題への意外な解決法を、子育てを「動物園型」「牧場型」「サバンナ型」にたとえて解説します。
「自分から勉強する子」に移行する際のチェックポイント
子育て相談でいちばん多い「子どもが勉強しないんですけど!!」という悩みは、ほとんどが動物園型が長すぎるパターンです。
要するに、多くの親御さんが動物園から牧場へ子どもを放つことが難しいと感じて苦労しているので、ここでは、移行の仕方と子どものチェックポイントについてお伝えします。
まず親がお世話していたことを、ひとつひとつ子どもにやらせていきます。
はじめは歯磨き、入浴、学校の準備などの生活習慣から、親がやり方を教えながら本人にどうするか決めさせます。徐々に勉強や習いごとのスケジュール管理などレベルアップしていきましょう。
子どもが自分でやると決めたことは、最低でも2週間は手を出さないで見守ってください。その期間が数日間だと短すぎて、不安や心配からまたすぐ管理をはじめる親が多くなります。
すぐにできなくても当たり前
たとえ計画通りにいかなくても、それが子ども本来の姿だといったん受けとめます。
そして、やりたいようにやらせると、はじめは忘れ物が増えることもあるかもしれませんし、勉強をしても成績は上がらないかもしれませんが、本人の満足度は高まります。
満足度が高まると不思議と、親が言ってもやらなかったことを自分からやりはじめたりします。
これが子育てのおもしろいところで、親が口出しすると反作用になるのですが、本人がやりたいことをやりきらせると、次に何をすべきか自分で考えはじめるのです。
小学生から中学1年生くらいまでは、自分ですべて決めることが難しいので、親が選択肢を与えて、子どもにどうしたいか考えさせて決定権を与えます。
2週間試して、選んだ方法がその子に適していなかったら、別のやり方に変えればいいのです。
このように、「選択肢を出す→子どもに決定権を与える→最低2週間は干渉せず観察する→成果を上げるための次の選択肢を出す」というサイクルをくり返していけば、動物園から牧場に少しずつ移行でき、しだいに自分から勉強するようになります。
*本記事は『勉強しない子に勉強しなさいと言っても、ぜんぜん勉強しないんですけどの処方箋』から、抜粋・構成したものです(次回へ続く)。