「遅かれ早かれ暴落が来る。そして、それはすさまじいものになる可能性がある」このような弱気予測は、2023年には拡散しにくだろう。しかし、1929年のブラックチューズデーの数週間前にはセンセーションを巻き起こした。大暴落の予兆となる株価の一時的な急落が発生し、その現象は後に「バブソンブレーク」と呼ばれるようになった。米国は大恐慌に陥ろうとしていたが、著述家のロジャー・バブソンは時宜を得た予測で名声と富を獲得。大学を設立し、大統領選にも出馬した。彼が1927年と1928年にも問題を予測し、後に回復の予測を早まったことを覚えている人はほとんどいないだろう。市場の暴落や底には必ずバブソンがいる。予想を的中させることで、一生食べていける人だ。1987年は、イレイン・ガルザレリ氏だった。同氏はブラックマンデーの数日前に暴落を予測。しばらくの間、ウォール街で最も高給取りのストラテジストとなり、その後、投資信託を運用したが成績は振るわなかった。1982年は、エリオット波動理論を提唱するロバート・プレクター氏が、16年間低迷していた株式相場の急騰を正しく予測。しかし、暴落の予測は外した。両者とも、数十年間おおむねお粗末な予測を披露しているものの、いまだに識者として稼いでいる。