子どもたちが生きる数十年後は、いったいどんな未来になっているのでしょうか。それを予想するのは難しいですが「劇的な変化が次々と起きる社会」であることは間違いないでしょう。そんな未来を生き抜くには、どんな力が必要なのでしょうか? そこでお薦めなのが、『世界標準の子育て』です。本書は4000人を超えるグローバル人材を輩出してきた船津徹氏が、世界中の子育ての事例や理論をもとに「未来の子育てのスタンダード」を解説しています。本連載では、船津氏のこれまでの著書から抜粋して、これからの時代の子育てに必要な知識をお伝えしていきます。
本気で取り組むことで人生を支える最高の武器となる
一般的に習い事というと、「片手間」で行うようなイメージがあるかもしれませんが、真剣に取り組むことで真の効果を発揮します。
親に言われて仕方なく、「やらされている感たっぷり」では無意味で、あくまでも子どもが自主的に取り組んでい(ると思え)なければなりません。
自分の力を100%発揮しなければ達成できないような困難な目標に挑み、勝ったり負けたり、成功したり失敗したり、といった経験をすることで、自信は次第に身についていくのです。
ハワイ生まれのイーサン君(仮名)は、玩具の卸業を営む父親の影響で3歳からヨーヨーを始めました。
父親の熱心な手ほどきもあって6歳の時にはアメリカの有名なテレビ番組に出るほどの腕前に。
地元ハワイでは「天才ヨーヨー少年」として多くのコンテストやイベントに参加する有名人でした。
そんなイーサン君も中学生となり、勉強や課外活動が忙しくなると同時にヨーヨーへの情熱も少しずつ冷めていったと言います。
そんな中、ヨーヨーの全米大会に初出場。選手はみな年上ばかりで、プレッシャーは生半可なものではありません。その大会で、イーサン君は結果を残すことができませんでした。
しかし、そのことで「(元)天才ヨーヨー少年」のプライドに火がついたのです。結果を残せなかったという悔しさをバネに、父親の指導の下、毎日3時間の猛練習を始めます。
しかし、その後も全米大会では思うような結果を出せません。高校生となり大学受験が視野に入ってくる頃、ヨーヨーをやめることを考えました。
まわりから見ればヨーヨーは「遊び・趣味」であり、大学受験やキャリア選択には無関係なもの。忙しい中、必死で練習を続ける価値がないように思えたのです。
そんな姿を見た父はこのようにアドバイスしました。
「なぜヨーヨーを始めたのか思い出してごらん」
すると、イーサン君は「見に来ている人に喜んでもらえるのが嬉しいから」という原点に戻ることができたのです。
それ以来、自分のトリックを見てくれる人たちを楽しませるためにヨーヨーを続けようと決めたのです。
そして、高校3年の時に出場したアメリカの地区大会で優勝。さらに2年後には全米チャンピオンに輝きました。
イーサン君は現在大学に通いながらプロのヨーヨープレーヤーとして世界中で「神業」と呼ばれるトリックを披露して人々を楽しませています。
イーサン君の成功は言うまでもなく父親のサポートがあったからです。
子どもの特性を伸ばし、高い目標に向かって自主的なやる気で挑み続けられるように仕組みを作る。何よりも親が子どもを信じてずっと励まし続ける。
イーサン君は大学でビジネスを学んだのち、玩具開発・デザインの道に進むという夢に向かって着実に歩き出しています。
習い事で才能を開花できるかは、親のサポート次第
このように、何かを「やり続ける」には、やはり親のサポートが必須です。
まずは、子どもが意欲を持って挑める何かを見つけてあげること。子どもの持つ強みを活かした習い事をいくつか選択肢として用意し、紹介してあげます。
子どもが自分で自分の強みや特性に気づくことは少ないですから、まずは子どもの強みの芽を見つけてあげることが親として大事な仕事です。
そして、いきなり習い事の場に放り込むのではなく、まずは技能を周囲よりも少しだけ高めてあげて、上手にしてあげてから習い事をスタートさせ、やる気を大きくするのです。
そして、「やめたい」と子どもが言い出した時には、本当にやめてもいいのか、子どもに選択をさせます。
やめるべき状況でない時には、子どもととことん話し合い、子どもの本心を確かめていくのです。
賢い親たちは、そのようなサポートを行って習い事を特技へと引き上げているのです。
・片手間ではなく、本気でやることが何より重要
・そのためには、子どもの特性に合った習い事を選ぶ必要がある
・いきなり放り込むのではなく、初歩的な技術を習得させてから参加させる
・「やめたい」と子どもが言い出した時の対応は非常に重要
(本原稿はToru Funatsu著『すべての子どもは天才になれる、親(あなた)の行動で。』から一部抜粋・編集したものです)