子どもたちが生きる数十年後は、いったいどんな未来になっているのでしょうか。それを予想するのは難しいですが「劇的な変化が次々と起きる社会」であることは間違いないでしょう。そんな未来を生き抜くには、どんな力が必要なのでしょうか? そこでお薦めなのが、『世界標準の子育て』です。本書は4000人を超えるグローバル人材を輩出してきた船津徹氏が、世界中の子育ての事例や理論をもとに「未来の子育てのスタンダード」を解説しています。本連載では本書の内容から、これからの時代の子育てに必要な知識をお伝えしていきます。
親のイライラは子どもに伝染する
「しつけ」を重視する日本人は「ああしなさい」「こうしなさい」「ダメ!」と、子どもの自主的な行動を言葉で押さえつけようとする傾向があります。
しかし、これはNG。命令・否定言葉は子どもの心に欲求不満を植えつけます。
大人だって「ああしなさい」「こうしなさい」と上司などから口うるさく言われれば、フラストレーションが溜まりますよね。子どもも同じです。
この欲求不満が溜まっていくと、ある時に爆発して「キレる」行動へと発展するのです。
命令・否定言葉が多い親は「険しい表情」をしています。親がイライラしていると子どもにイライラが伝染します。そして、子どもも不機嫌になるのです。
イライラしがちな人は「スマートフォンで自撮りする習慣」をつけてください。
自分の表情を見れば心の状態がすぐにわかります。
イライラしているな、不機嫌そうだな、不安そうだな、そんな時は口角を人指し指でグッと上げて、ニコッと笑顔をつくってみましょう。そしてその笑顔で子どもに声をかけてあげてください。
親がニコニコしていると、子どもの問題行動は減ります。そして「ああせい」「こうせい」と言わなくて済むようになります。
親の上機嫌は子どもを上機嫌にするのです。すると、「しつけ」もスムーズに受け入れてくれるようになります。
「結論」だけでなく「理由」を説明する
親の言葉は子どもの心の発達に大きな影響を与えます。中でも否定言葉には細心の注意が必要です。
しつけ目的で子どもの行動を制限しなければならない時は、「なぜダメなのか」を説明してあげてください。頭ごなしに「ダメ!」と言われても、子どもは理解できません。
自分の存在が「ダメ」だと否定されているように感じてしまうのです。
たとえば、病院で3歳児が騒いでいるとします。
こんな時は子どもと目線を合わせて(親がしゃがんで)「ここは具合の悪い人がお医者さんに診てもらう場所だよ。◯◯ちゃんがお腹痛くて苦しい時にまわりでお友だちが騒いでいたらどう思う?」などとやさしく質問してください。
相手が3歳児でも、きちんと言葉で説明することが大切です。
その際に要注意なのが、「ケナシ言葉」です。
冗談でも人前で「ウチの子バカだから」「この子はダメだから」「どうせ言ってもわからないから」などと絶対に言ってはいけません。
特に母親の「ケナシ言葉」は子どもの心にグサッと突き刺さります。
反対に、良い言葉はどれだけ人前で繰り返しても問題ありません。「◯◯ちゃんはいい子だね」「おりこうさんだね」「かわいいね」「えらいね」と、もっと言ってあげてください。
日頃から良い言葉を与えていると、おさえつけなくても、しつけはできるようになるのです。