子どもたちが生きる数十年後は、いったいどんな未来になっているのでしょうか。それを予想するのは難しいですが「劇的な変化が次々と起きる社会」であることは間違いないでしょう。そんな未来を生き抜くには、どんな力が必要なのでしょうか? そこでお薦めなのが、『世界標準の子育て』です。本書は4000人を超えるグローバル人材を輩出してきた船津徹氏が、世界中の子育ての事例や理論をもとに「未来の子育てのスタンダード」を解説しています。本連載では、船津氏のこれまでの著書から抜粋して、これからの時代の子育てに必要な知識をお伝えしていきます。

世界標準の子育てPhoto: Adobe Stock

具体的な「指図」はしない

「あれをしなさい」「これをしなさい」と親が何においても口を出し、子どもに具体的な指示ばかりしていると、自主性が育ちません。

 すると、

 ・やる気がなくなり、物事を上達させることに意識が向かなくなる
 ・自分で考える習慣が身につかず、言われたことしかやらない(できない)
 ・人に指示されるのが嫌になり、親や大人の言うことを聞かなくなる
 ・挑戦しないので成功体験を積めず、自尊感情の低いまま大人になる
 ・何事も周囲に流されて決断するようになり、アイデンティティが確立されない

 といった悪循環に陥ってしまうのです。

「言われたことをしっかりやる子」は、親にとっては「都合のいい子」に映ることもあります。

 また暗記が得意で、ペーパーテストではいい点数を取れることも多いのですが、問題が起きやすいのはティーンエイジャーを経て、社会に出ていく時です。

 自分自身で考え、選択して物事を成し遂げてきたという自信がないので、周囲に合わせて(空気を読んで)自分の人生を選んでしまう、何かをやり切ることができず、何事も中途半端に終わってしまう……といったことが起こりやすくなります。

 実際、こうした例は、特に学歴(テストの点数や偏差値)を重視する日本や韓国といったアジアの国でよく起きている問題です。

 人生の目的を見つけられず転職を繰り返す、十分に自信が育っていないので、挫折を経験した時に立ち上がれなくなる……そんな若者が、実に増えています。

自主性を尊重することと、好き放題させることの違い

 では、自主性を尊重するために「何でも子どもの言うとおりにすればいい」「子どもを放任すればいい」のかといえば、そうではありません。

 たとえば、ゲームが好きだから何時間でもゲームをさせていいかといえば、そうではないのです。

 賢い親は、子どものそうした興味を「特性(強み)」に発展させて、よりレベルの高いものに変換をしていきます。

 ゲームを何時間でもできるならば、その「集中力」にフォーカスして、より集中力を伸ばすための習い事をすすめる。たとえば、プログラミングを学ばせて「ゲームで遊ぶ」から「ゲームを作る」という体験をさせる、といった具合です。

 しかしその際も、親が「これをしなさい」と強制しません。子どもが自分の意思でその道を選択していると思えるように親が仕組みを作るのです。

 とにかくここで覚えておいていただきたいのは、「自主性の尊重」が子どものやる気を引き出し、自信を身につけさせる最大の秘訣だということです。

 子どものやる気を高めながら親がしっかりとサポートをし、最終的に子ども自身が選ぶことによって、子どもはどんどんとたくましく、自信に満ちあふれていきます。

Points やる気を引き出す教育とは
・子どもの興味や得意なことを重視する
・その興味や得意なことを、明確な強みにしていく
・子どもが「自分の意思で選択している」と思える仕組みを作る

(本原稿はToru Funatsu著『すべての子どもは天才になれる、親(あなた)の行動で。』から一部抜粋・編集したものです)