子どもたちが生きる数十年後は、いったいどんな未来になっているのでしょうか。それを予想するのは難しいですが「劇的な変化が次々と起きる社会」であることは間違いないでしょう。そんな未来を生き抜くには、どんな力が必要なのでしょうか? そこでお薦めなのが、『世界標準の子育て』です。本書は4000人を超えるグローバル人材を輩出してきた船津徹氏が、世界中の子育ての事例や理論をもとに「未来の子育てのスタンダード」を解説しています。本連載では、船津氏のこれまでの著書から抜粋して、これからの時代の子育てに必要な知識をお伝えしていきます。

世界標準の子育てPhoto: Adobe Stock

子どもの好きなことをとことんサポートし、自主性を尊重する

 教育の3つの柱は「よい習慣」「思考力」「アイデンティティの確立」です。

 根底にある「よい習慣」が人間としてのベースを作り、「思考力」が選択する力を高め、一番上に「アイデンティティ」ができあがります。

 まず、3つの中でおさえておくべきなのが、子どもに「よい習慣」を身につけてもらうことです。

 習慣は、人の性格、メンタルタフネス、思考パターンなどを決定づけるものであり、同時にあらゆる技能(「学力」や子どもが持っている「強み」)の伸び方にも関係していきます。

 よい習慣によって技能が伸びていくと、何度も成功体験が積めます。

 子どもは成功体験によって大きな自信(自己肯定感)を持つことができ、最終的に「自分はこんな道に進みたい」という確固たるアイデンティティを確立していけるというわけです。

哲学・方針は伝えるが、具体的な指図は一切しない

 では、よい習慣を身につけるにはどうすればよいのでしょうか?

 よい習慣を身につけている子どもの親に必ず共通するのが、「子どもの自主性を尊重すること」です。

 自主性を尊重するとはどういうことかというと、「あれをしなさい」「これをしなさい」といった命令や指示をしないこと。

 子どもの選択を大切にし、親が具体的な行動を強要することがないのです。もちろん、「勉強しなさい」「宿題をしなさい」とも言いません。

 一方で、子どもの好きなこと、興味のあることには惜しみない協力をし、学びの場を積極的に用意しているのです。

 アイビーリーグの名門、ペンシルバニア大学ウォートンスクールを首席で卒業したアーディル君(仮名)は、こう言います。

両親は私が何をするにも私の意志を尊重してくれました。私が「何をすべきなのか」を示してくれましたが、「どうすべきなのか」は私に任されていたんです。
たとえば家族のルールとして「スポーツをすること」がありましたが、どのスポーツをするのかは私が選ぶことができました。私の選択について両親が反対したり、うまくいかなかったり、失敗した時に叱ることはなかったです。おかげで私はあるがままの自分に自信を持つことができました。
両親は「学問はどんな道を目指す上でも絶対に必要なものである」と、勉強の大切さについて教えてくれましたが、「勉強しなさい」と私に言ったことはありません。勉強をいつ、どこで、どれだけやるかはすべて私に任されていました。でも放任していたわけではなく、勉強でわからないことがあればいつも両親が助けてくれました。

 このアーディル君のケースのように、賢い子が育つ家庭では親が子どもに「大枠の方針」「人生の哲学」を伝えはしますが、「では具体的にどうするか」は子ども自身に選ばせます。そして、子どもがつまずいた時には手を差し伸べ、一緒に解決していくのです。

 すると何が起きるかというと、子どものやる気が伸びていきます。

 自分の選んだことが(親のサポートも手伝って)うまくいくという体験を積むことで、子どもの自尊感情(自分への自信/自己肯定感)が高まり、何事にも自分で目標を設定し、その目標を達成するための努力を惜しまなくなるのです。

 勉強でも習い事でも、手を抜かずに一生懸命に取り組むようになります。この一生懸命になるということが、能力をさらに飛躍させるのです。

 先生の話を聞く時、本を読む時、問題を解く時、わからない問題に出合った時、自分の意見を述べる時、何にでも一生懸命に取り組む子どもは、必ず勉強ができるようになります。

 自主的なやる気を持った子は、人が見ていない時でも手を抜かずに一生懸命勉強や習い事の練習に向き合うので、どんどん上達スピードも上がっていくというわけです。

Points 子どもの自主性を尊重する教育とは
あれをしなさい、これをしなさい、という具体的な指示を出さない
・守るべきルールや人生哲学を伝えて、選択は子どもに委ねる
・子どもが選択したことについては、サポートを徹底的に行う

(本原稿はToru Funatsu著『すべての子どもは天才になれる、親(あなた)の行動で。』から一部抜粋・編集したものです)