エリザベス女王崩御から1年、チャールズ国王が悩まされる男子王族たちの「女性癖」紙幣の顔としても親しまれたエリザベス女王 (写真はイメージです)Photo:PIXTA

2022年9月8日(現地時間)に、イギリスのエリザベス2世女王が崩御した。稀代の名君と言われた女王だが、存命中は数々の身内のトラブルに悩まされた。そして、後を継いだチャールズ3世国王もまた同様にトラブルに悩む。その背景には「母親からの愛の渇望」「年上の女性が好き」という男子王族の共通項があった。(フリーライター&エディター 東野りか)

エリザベス女王は
伯父が捨てた王冠を引き継いだ

「まさか!」「本当に?」……1年前、偉大なる君主の突然の訃報が流れた際、世界中の多くの人々がそう思ったのではないだろうか。

 イギリスではいまだ「自分たちの王はエリザベス女王」という認識を持つ国民が少なくないという。国家元首としての在位期間は70年、中世以降では世界第2位(1位はフランスのルイ14世)、イギリスではもちろん最長を誇る。ほとんどの国民の人生と女王の治世が重なっているため、晩年は“国民のおばあちゃん”として絶大な人気を誇った。

 女王は私見を控え、不平不満を言わず、すべてにおいて君主としての立場を優先する実直な性格の持ち主。存命中は90歳を超えてもなお膨大な公務をこなし、4人の子供たちを出産して数多くの孫やひ孫に囲まれた大家族の長でもあった。

 しかし、女王の生涯は決して順風満帆ではなく、在位中、数多くのトラブルに悩まされることになる。そもそも女王になった経緯も王道パターンではない。    

 女王の3代前の国王・ジョージ5世が崩御すると、長男のエドワード8世が国王に即位する。彼はあまたの女性と浮名を流した美男子、かつ社交的な戦略家だったので、皇太子時代は「プリンス・チャーミング」というニックネームで呼ばれた。しかし交際するのは年上の既婚女性ばかり。

 結局数々の恋愛遍歴の末に妻に選んだのは、2回離婚歴があり、ナチスとも関係があったと噂されるアメリカ人女性、ウォリス・シンプソンだった。国王は英国国教会の首長であるにもかかわらず、教義に背き(離婚経験者との婚姻が認められていなかった)、エドワード8世はウォリスとの結婚を強行。

 即位から1年も経たずに退位したので、弟のジョージ6世、つまり女王の父が国王となったのだ。