ジョージ6世は兄とは正反対の引っ込み思案で地味な性格、しかも吃音がひどいので君主としての演説も散々だった。演説に四苦八苦する様子は映画『英国王のスピーチ』(コリン・ファレル主演)の原案にもなる。
折しも、第二次世界大戦下での国王の務めに極度のストレスを感じたのか、肺がんに罹り56歳で早世。25歳の若さで即位したのがエリザベス2世なのだ。歴史に“たられば”はないが、もしエドワード8世が退位せずに後継者の子どもをもうけていれば、女王は王冠を戴くことはなかった。
若き女王は王位を捨てた伯父を“反面教師”とし、「自分の人生が短くても長くても、一生を国民に捧げる」と誓った。
イギリスの国力低下と
夫の浮気に悩む、エリザベス女王
女王が即位してからもイギリスは国難続き。第二次世界大戦で連合国軍側としてかろうじて勝利したものの、かつての植民地は次々と独立し、大英帝国時代の勢いを失っていく。さらには”英国病”と呼ばれるほど深刻な不景気に見舞われた。
また、女王はプライベートでも身内のトラブルに悩まされる。彼女の一目惚れで恋愛結婚したフィリップ王配は、常に妻の後ろを歩かされる屈辱的な存在に我慢ならなかったのか、浮気の噂が絶えなかった。王配はブロンドのブルーアイズ、スラッとした長身というルックスの海軍将校だったので、自分から口説かなくてもモテた。
さらに長男のチャールズは、すでに婚約者がいた年上のカミラ・パーカー=ボウルズと深い仲になってしまう。
周囲に説得されてカミラを諦め、無垢な10代のダイアナ・スペンサーと結婚するも、2人は性格も趣味も全く合わない。また、自分より人気があったダイアナにチャールズは嫉妬し、次男のヘンリーが誕生する頃には夫婦仲が完全に崩壊。
夫婦は泥沼の不倫と暴露合戦を繰り返すが、夫の方は腐れ縁のカミラに一途だった。ダイアナはBBCのインタビューで「この結婚には(夫婦と愛人の)3人が存在していた」と証言した挙句に離婚となる。