株式投資をする人たちの間で大きな支持を集める話題の1冊が『株トレ――世界一楽しい「一問一答」株の教科書』だ。60問のクイズを答えるだけで「投資のコツ」をつかめる手軽さが人気を博し、絶賛の声が尽きない。
本稿前半では、『株トレ』の著者であり、ファンドマネジャーとして2000億円超もの資金を運用してきた経歴を持つ楽天証券・窪田真之氏に、「チャートでわかる株の正しい買い時」について教えてもらった。さらに本稿後半では、特別に『株トレ』から一部を抜粋して紹介する。

株で儲ける人は知っている「チャートでわかる株の買い時、売り時」Photo: Adobe Stock

なぜチャート分析が重要なのか?

ーー窪田さんは、チャート分析とファンダメンタルズ分析をどのように使い分けているのでしょうか?

窪田真之(以下、窪田):株価は、長期的にはファンダメンタルズの変化に応じて動き、短期的には需給の変化に応じて動きます。

 そのため、ファンダメンタルズ分析は、後から株価の変化を説明する上では非常に有効ですが、その瞬間に起きていることをファンダメンタルズから分析しようとしても、たいてい遅れてしまいます。

 一方で、チャートには、常にその瞬間の変化が表示されています。

 株価が売買高の上昇をともなって急騰していれば、その瞬間、多くの投資家たちが急いで株を買いに来ていることがわかり、企業のファンダメンタルズに影響を及ぼすような好材料が出たと推測できます。

ーー反対に、株価が下がっていれば、悪材料が出ているということでしょうか?

窪田:その通りです。「成長が期待できる」とアナリストが太鼓判を押す企業であっても、株価が急落していれば、その瞬間、投資家たちは急いで売りに来ているわけです。企業のファンダメンタルズに影響を及ぼすような悪材料が出たと推測できます。

 つまり、チャートを観察していれば、ファンダメンタルズの変化を説明できなくても、トレンドの変化にはその場でついていくことができます。

「チャートを見れば、ファンダメンタルズ分析よりも先に、ファンダメンタルズの変化に気づくことができる」とも言えるのです。

『株トレ』のクイズに挑戦

 I社は、4ヵ月くらい前に何らかの買い材料が出て株価が急騰しました。

 上昇ピッチが速すぎたことから、1600円まで上昇した後、利益確定売りで一時1320円まで反落。ただし、そこでは押し目買いが入って1500円まで反発しました。

 さらに、戻り売りが出て、またしても反落。

 その後、1320円から1500円の間でしばらく推移していきました。激しく乱高下していた株価も、徐々に値動きが小さくなっています。

 売り、買い、様子見、どうする?

売り、買い、様子見、どうする?売り、買い、様子見、どうする?

正解は……

 正解は、売り。

 I社は、4ヵ月前に買い材料が出て株価が急騰しましたが、上昇ピッチが速すぎて1600円から1320円まで反落しました。

 その後、 1600円(上値抵抗線)と1320円(下値支持線)の間で、三角もち合いを形成しました。

 しかし最近、売買高がどんどん減って、下値を切ってしまいました。

 4ヵ月前に出た買い材料が、時間の経過とともに「たいした話ではない」と評価を下げたのか、あるいは、4ヵ月前の好材料を打ち消すような悪材料が出たのかもしれません。

売買高の減少をともない、株価は下値指示線を切る

(本稿は、『株トレ――世界一楽しい「一問一答」株の教科書』から抜粋・編集したものです。)