結果を出す人の仕事術写真はイメージです Photo:PIXTA

転職後に活躍できる人と、イマイチ成果が出せない人。その違いはどんなところにあるのか。また、自分が転職しても通用するのかどうか、考える上でのヒントとは。

ダイヤモンド・オンライン会員限定で配信中の本連載をまとめた電子書籍『結果を出す人の仕事術』(石倉秀明著)の発売を記念して、特別編をお届けする。(構成/ダイヤモンド・ライフ編集部)

大企業でしか通用しない人と
転職後も活躍できる人の違い

 終身雇用の崩壊で長年、大企業に勤めていた人も中小企業やスタートアップに転職するというケースが珍しくなくなってきました。新天地で成果を出している人がいる一方で、イマイチ成果を出せずに苦戦する人がいます。

 この違いをひもとく鍵は、本連載でも何度かお話してきたように、「3種類の人的資本」にあります。

 人的資本とは、スキルを含め、知識や能力、仕事の進め方などその人が持っているものを資本として捉える考え方。その人の仕事内容や職種に結びつく「職種・仕事特有の人的資本」、業界ならではの用語や知識などが含まれる「業界・業種特有の人的資本」、その会社の人間関係や独自の文化、仕事の進め方といった「会社特有の人的資本」の3つに分けられます。

 働く場所が変わっても活躍し続けるためには、どこでも通用する再現性の高いスキル、上記の3種類の人的資本でいうと主に「職種・仕事特有の人的資本」に当たるものの割合が高いほうが良いです。

 反対に、その会社内でしか通用しないスキル、つまり「会社特有の人的資本」の割合が大きい場合、転職したら持っているスキルの大部分が使えないということになってしまいます。つまり、またイチから経験してスキルを身に付けるしか、成果を出す方法がないのです。

 そのため、今後のキャリアを考える上では、自分が今持っているスキルや能力はどの人的資本に分類されるのか、どの人的資本の割合が多いのか、振り返って確認してみることが重要です。

「社内の調整業務」でも
他社で通用するスキルは身に付く

 ただ、「社内の調整業務ばかりだから他社では通用しない」というように結論を急ぐ必要はありません。一見、その会社特有の業務のようですが、抽象化して考えると「キーパーソンを特定し、その人の合意を得るように交渉を進めるスキル」というように汎用性のあるスキルを使っていることがあります。

 重要なのは、実際の仕事で使っているスキル、能力を抽象化して、どう生かせるのか考えてみること。意外と他の会社や業界でも生かせそうなスキルが身に付いているかもしれません。

 それでも社内でしか通用しないスキルばかりで不安を覚えたときには、別の部署に異動希望を出すなど、会社に左右されない人的資本を獲得できる方法を考えて行動してみましょう。

石倉秀明(いしくら・ひであき)
山田進太郎D&I財団 COO。2005年に株式会社リクルートHRマーケティング入社。その後、リブセンス、DeNA、起業などを経て2016年より株式会社キャスター取締役COOに就任(2021年より取締役CRO)。2023年10月の東証グロース市場上場に貢献し、2023年12月からは働き方について研究、調査を行うAlternative Work Labを設立し所長就任(現在も兼任)。FNN系列「Live Newsα」、AbemaTV「ABEMAヒルズ」レギュラーコメンテーター。著書に『これからのマネジャーは邪魔をしない。』(フォレスト出版)、『THE FORMAT 文章力ゼロでも書ける究極の「型」』(サンマーク出版)など。
ダイヤモンド・オンライン会員限定で配信中の連載『「40代で戦力外」にならない!新・仕事の鉄則』の人気記事をまとめた電子書籍『結果を出す人の仕事術』が発売中。