新型コロナウイルス禍がかなりの落ち着きを見せ、社会は少しずつ元通りになりつつある。だが、円安、資源・原材料の高騰、半導体不足といった問題はいまだに解消されていない。その結果、企業によって業績の明暗が分かれている。格差の要因を探るべく、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はニデック(旧・日本電産)や村田製作所などの「電子部品」業界4社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)
ニデックは増収増益も
他の3社が軒並み不調
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の電子部品業界4社。対象期間は2023年2~6月の四半期としている(4社とも23年4~6月期)。
各社の増収率は以下の通りだった。
・ニデック(旧・日本電産)
増収率:4.8%(四半期の売上高5661億円)
・村田製作所
増収率:マイナス15.8%(四半期の売上高3677億円)
・京セラ
増収率:マイナス2.5%(四半期の売上高4794億円)
・TDK
増収率:マイナス1.4%(四半期の売上高5034億円)
電子部品業界の四半期増収率は、ニデックのみプラス、残る3社はマイナスという結果だった。
ニデックは22年に「社長退任」問題がぼっ発し、今夏も工作機械メーカーTAKISAWAに対するTOB(株式の公開買い付け)が「敵対的買収」になりそうなことから波紋を呼んでいる。
だが業績面は好調で、23年4~6月期(24年3月期第1四半期)は増収増益で着地。営業利益・純利益は第1四半期実績として「過去最高」を記録した。
一方、村田製作所・京セラ・TDKは利益面でも元気がなく、3社いずれも23年4~6月期の営業利益が前年同期比で4割前後の減益となった。同じく純利益も約3~5割の大幅減益に沈んでいる。
ニデックと3社の間では、なぜ明暗が分かれたのか。次ページでは各社の増収率の推移を紹介するとともに、利益面についても解説する。