原油価格の右肩上がりが続き、指標のブレント原油先物はバレル当たり100ドルに迫り、インフレと戦う各国中央銀行に新たな試練を突きつけている。原油高の勝者はサウジアラビアだ。同国は石油に依存する経済を改革する資金を確保するため、原油価格の引き上げを図った。ウクライナ戦争の費用をエネルギー収入に頼り、サウジとともに減産したロシアもまた勝者だ。両国が今月に入り、年末まで供給を制限すると表明したことが、原油高の引き金となった。経済が予想外に強いことから原油需要は記録的な高水準に達し、生産量を上回っている。その結果、トレーダーや石油精製業者は原油在庫を急ピッチで減らしている。多くのアナリストは、原油価格は上昇を続け、燃料費の上昇やインフレ加速、場合によっては金利上昇につながると予想する。