企業の気候変動への取り組みが行き詰まっている。世界の大手企業は、気候変動対策として温室効果ガス排出量を削減すると約束してきた。だがコスト上昇や技術の進展の遅れ、政治的圧力などが足かせとなり、その多くが約束通りの成果を上げていない。大きな要因の一つは、自主的炭素市場が信頼されていないことだ。多くの企業は、削減が難しい排出量を相殺するために炭素クレジットを活用しようとしていた。航空会社のジェット燃料燃焼が一例だ。炭素クレジットは短期的な約束の達成に貢献するはずだった。企業は現在、長期的な目標を維持する一方、短期の目標を取り下げている。2021年にグラスゴーで開催された国連気候サミットでさまざまな気候変動イニシアチブが始動し、それから2年での転換だ。