調剤薬局アイン経営陣が不正入札で逮捕、「うちは大丈夫か」他社も戦々恐々の理由Photo:PIXTA
*本記事は医薬経済ONLINEからの転載です。

 不正の繰り返しで歴史を紡いできた調剤薬局チェーンで、大きな不祥事の露見を綱渡りながら躱し続けていた“優等生”とも言われる最大手が、ここにきて最大級の花火を打ち上げることになった。

 北海道警察は8月31日、アインホールディングス常務取締役で、事業子会社アインファーマシーズ社長を兼務する酒井雅人容疑者(54歳)、同子会社取締役の新山典義容疑者(55歳)を逮捕した。

 容疑は、同社が業界内で最も前のめりの姿勢で出店を続けてきた「病院の敷地内薬局」の誘致をめぐる汚職だ。アインが本社を置く札幌市内の「KKR札幌医療センター」が20年に実施した公募入札で、自社の提案書を出したのちに他社の情報を聞き出し、締め切り後に好条件へ書き換えた「公契約関係競売入札妨害」の疑いが浮上した。その後、アインは優先交渉権を得て、21年に敷地内薬局の開局に結び付けている。

 もちろん、KKR病院側で便宜を図ったとされる元事務部長の藤井浩之容疑者(62歳)も逮捕。入札妨害の刑罰は「3年以下の懲役もしくは250万円以下の罰金」、または「その両方」で軽い罪ではない。さらに、北海道警は本部捜査2課、所管の千歳警察署、白石警察署と合同捜査体制を組み、情報の見返りに金品の授受があったかどうか、つまり「贈収賄」も視野に入れ、捜査を進めている。

 捜査中であり、アインやKKR病院は詳細について口を噤むが、周辺関係者からは断片的な情報も漏れ始めている。KKR病院が20年11月に実施した事業提案型(プロポーザル)入札で、アインは敷地の賃料を月額「約450万円」と提案。その後、KKR病院の藤井容疑者から他社の提案内容を踏まえ「増額」を要求され、アイン側は「約750万円」に上乗せした書類に差し替えたという。藤井容疑者が公募前に他社へ、敷地内薬局を誘致する「予定はない」と話し、アインを有利にしようとしていた疑いももたれている。