イオンPhoto:PIXTA
*本記事は医薬経済ONLINEからの転載です。

 イオン傘下のイオンリテールは10月18日、横浜市保土ヶ谷区にIT技術満載の新店の開業を果たした。

「イオン天王町ショッピングセンター(SC)」がそれで、かつてはニチイ天王町店ショッピングデパートだった。ニチイは96年にマイカルに商号変更し、11年にイオンリテールの傘下に入った。その後、シッピングデパートだった場所でイオン天王町店を運営してきた。この度、近隣の土地とともに再開発を経て、生まれ変わった。

 イオン天王町SCはイオンの総合スーパー(GMS)運営子会社、イオンリテールの最新のフォーマット、IT技術を結集させたSCで、従業員のシフトまでIT技術で効率的な運営を行うという。売り場の総面積は2万185平方メートル、直営の売り場面積は1万1385平方メートルの規模となっている。

 早速、売り場の構成を見てみよう。1階は「フード&ウエルネス」、2階は「ライフスタイルファッション&カルチャー」3階「キッズ&ファミリー&カルチャー」となっている。

 1階のフード&ウエルネスにはイオン薬局(調剤薬局)を設置した。営業時間は午前9時~午後9時。最近では珍しくなくなったが、過度な接触を避けるために、クスリが受け取れるお薬ロッカーを設置しており、店舗の営業時間内であれば、いつでもクスリが受け取れるというサービスを構築した。

 さらに、クスリや健康に関する無料相談会を定期的に開催するほか、在宅訪問やオンラインでの服薬指導と「即日便」を組み合わせることで、自宅にいながらクスリを受け取れるという仕組みを導入する。調剤ロボットを3台導入し、錠剤、粉薬、シロップ剤の調整を自動化し、捻出した時間で服薬指導を強化するという。「処方箋」の写真をスマートフォンで送ることで、クスリのできあがりを連絡する「ポケットファーマシー」も盛り込んでいる。

 近隣の医療機関では1キロ先に横浜市立市民病院(650床)があるが、病院前には2軒しか調剤薬局はない。自家用車か公共交通機関が不可欠で、通院後の買い物を考えるのであれば、イオン天王町SCを活用するのではないか。周辺は起伏が激しい住宅街のため、高齢患者への在宅対応は必須である。3階には女性と小児の専門外来、歯科が入居、家族層の浸透を狙う。患者ニーズと現在の調剤報酬の取得最大化を狙った最新鋭の調剤薬局と言えよう。近隣の調剤薬局経営者も「どこまで患者が流れるかなぁ」と不安視するほどだ。